天台宗について

法話集

仏さんがいっぱい

 お寺には仏さんがたくさんお祀りされています。あなたのお家の檀那寺やご近所、また京都・奈良あたりのお寺に参拝されたとして、そのお堂のご本尊が、何という名前で、どんなお願いごとを聞いてくださる仏さんか、ピンときますでしょうか?

 阿弥陀さん、お薬師さん、お釈迦さん、観音さん、お不動さん、毘沙門さん・・。名前を挙げればどんどん出てきます。じつは、お祀りされている仏さんの種類が最も多いのが天台宗のお寺だということを、あなたはご存知でしたか?

 仏さんにはみな名前があるのと同時に、その仏さんのことを説いたお経によって、それぞれがどんな願い事を聞いてくださるのかが本当は決まっています。(もっとも、それより仏さんにお祈りする人の心根の方が大事なので、何の仏さんであれ、どんなお願いごとをしてもまったくかまいません。)

 天台宗の宗祖、伝教大師や慈覚大師、恵心僧都など、その後の比叡山のお弟子さん方は、世の中をさまざまな立場で生き、さまざまな苦しみを抱える人々を救うには、その人、その苦しみに応じて、できるだけ幅広く、多様な手段があった方がいいと考えられました。ご本尊が何であっても、そこで法華経を読み、説くことを中心にすえる一方で、お不動さん、お薬師さんの前で護摩も焚けば、在家さんにお写経や止観(座禅のこと)を勧めたりするのも、そのためなのです。

 そもそも仏教の教えでは、仏さんは無数にいると説かれます。誤解している人が多いのですが、仏さんはあの世にだけいる訳ではありません。観音さんやお地蔵さんは「菩薩」という肩書の仏さんですが、菩薩は完全に悟った仏(如来といいます。お釈迦さんや阿弥陀さん、薬師さんなど)に至ろうと日々修行する人という意味です。ですからあなた自身も「私がもし仏さんだったら、周りの人にこんなことをしてあげる」ということを常に頭において、できる限りそのことを実践しようと努力されていれば、立派な菩薩であり、仏さんの仲間なのです。

 いま熊本は大地震でたいへんなことになっています。テレビが映し出す、各地から駆け付けたボランティアの方々や、それに感謝する被災された方々は、まさに菩薩であり仏さんです。またそれを見て、「自分にも何かできることはないのかな。」と思い、何か行動しようとするあなたもやはり菩薩であり、仏さんになる入口に立っているのです。私たちの住むこの世界が、そんな仏さんでいっぱいになるといいですね。


(文・北陸教区 窓安寺 久保 智康)
掲載日:2016年06月01日

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