天台宗について

法話集

ステキな毎日を

 比叡山には、世界中からたくさんの人々がいらっしゃいます。

 海外から来られた方々から、日本という国や私達日本人の何気ない日々の生活をほめてもらえる事があり、嬉しくなったりします。「日本はどこへ行ってもゴミが少なくてきれい」、「日本は昔からの伝統をきちんと守っていて、その文化にふれると心が癒される」、「日本人はいつもマナーが良く、他人を思いやる気持ちがあり、親切だ」等々。でも、そういった事は、別段私達が意識して行っているわけではないのです。普通にしている事を特別な事としてほめてもらって、返って驚いてしまったりします。

 そんな日本の伝統や文化、日本人の心根とか、いったいどこから来ているものなのでしょうか。

 奈良時代、聖徳太子は日本という国を国際社会と肩を並べられるしっかりとした国家とする為に、初めて法律を定めました。「十七条の憲法」です。第一条「和(わ)をもって貴(たっと)しと為(な)し、忤(さから)う無(な)きを宗(むね)と為(な)す」で始まる憲法は、自分以外の人の個性をちゃんと認めて、みんな仲良く幸せに生きていく事が大切であるという事を国の礎(いしずえ)にしたのです。

 平安時代、聖徳太子の考えを尊敬し、その教えを引き継いだのが伝教大師最澄様です。比叡山で学ぶ人々に基本となる姿勢を『山家学生式(さんげがくしょうしき)』という書の中に「国宝とは何をいうのか。それは道心(どうしん)〈自利利他の心〉を持っている人の事である。みんなそれぞれが今いる場所で頑張っている〈一隅を照らす〉そんな道心を持った人の事を、西の国では菩薩(ぼさつ)と呼び、東の国では君子(くんし)と呼んでいる。仏教の宝物は、自分が悟りを開く為にも、自分だけでなく、他人(ひと)の為にも力を尽くす事ができる人の事である」と記(しる)されています。

 その教えは比叡山で学ばれた鎌倉仏教のお祖師(そし)様たちも、お釈迦様をはじめとして、聖徳太子、伝教大師と紡(つむ)がれてきた教えを継(つ)いでいくという信念のもとに、新しい宗派を展開されたのだと思います。
 重複しますが、聖徳太子は「自分以外の人の考えを認めて、尊敬し合い、みんな仲良く幸せになろう」と教え、伝教大師は「仏教の修行というのは、自分だけのものではなくて、他人(ひと)の為に尽くす事〈忘己利他(ぼうこりた)〉が揃って完成されるもの」と教え、長い歴史の中で自然に人々の心に根付き、現代にまで伝えられてきたのではないでしょうか。

 だとすれば、これからも外国の人をして「日本て良いな、日本人はステキだなあ」と言わしめる素晴らしい国・人でいられるように、私達は心安らかに、日々をおろそかにせず、暮らしていく事が大事になるでしょう。

 私も毎日を楽しみながら、精進し、みなさんの幸せをお祈りしています。

合 掌




(文・埼玉教区 徳性寺 鷲田 禎彦)
掲載日:2016年05月01日

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