
私は地域で子どもたちの見守り活動をしています。まだ眠そうな顔で歩く子、友達と楽しそうに話す子、元気に挨拶してくれる子。さまざまな姿に出会い、私自身も心が温かくなります。
この活動を続ける中で、小さなことでも自分にできることを積み重ねることの大切さを日々感じています。そんな時、ふと心に浮かぶのが「一隅を照らす」という言葉です。
「一隅」とは、社会の片隅や目立たない場所のことです。つまり、どんな場所でもできることを精一杯やることが、やがて周りを明るくし社会全体を照らす力になるという教えです。
現代社会はとても便利になり、物や情報があふれていますが、その一方で、人と人とのつながりや、ちょっとした思いやりが薄れてしまうことも多くなりました。だからこそ、日々の暮らしの中で誰かのためにできることを見つけて実行することが、ますます大切になっているのではないでしょうか。
「一隅を照らす」という教えは、特別な人だけのものではありません。たとえば、家族にありがとうと伝える、友人や同僚にお疲れさまと声をかける、困っている人にさりげなく手を貸す。そうしたささやかな行動が、周りの人の心を明るくし、やがては社会全体が温かくなっていきます。
比叡山延暦寺には、1200年以上灯り続けている不滅の法灯があります。この灯火のように、私たち一人ひとりが自分の心に小さな灯りをともして、身近な人や場所を照らしていくことが、やがて社会全体を明るくする力となるのです。
「一隅を照らす」という生き方は、特別な人だけのものではありません。日々の挨拶や気配り、身近な人への思いやりから始めることができます。
どうぞ皆さんも、ご自身の今いる場所で、小さな一歩を踏み出してみてください。その積み重ねがきっと誰かの心に温かな光を届け、社会全体を明るく照らすことでしょう。
(文・北海道管内 妙法寺 岡 康照)