天台宗について

法話集

持戒正念について

 持戒正念(じかいしょうねん)とは、言うまでもなく戒を持(たも)ち念々正しき道に住し、近くは人道を全うし、遠くは仏果菩提を証するに至ることであります。
 伝教大師は比叡山に菩薩の戒壇を建て、円頓受戒の道場とされました。
 梵網経(ぼんもうきょう)には「衆生は仏戒を受くれば、すなわち諸仏の位に入る」と記されていますが、戒を受けた瞬間に自分の心にある仏が発見され、仏と同等の位になるのです。
 正しい安定した生活を送るには、戒が基本とならなければなりません。天台宗には授戒会(じゅかいえ)といって天台の教えの正統を伝えている天台座主貎下から直接円頓戒を授かる大切な儀式があります。また、亡くなったときには住職から戒を受け、名前を変えます。ですから単に法名と言わず「戒名」と言うのはそのためです。大師は「その戒広大にして真俗一貫す」と言われているとおり、僧侶だけでなく、在家の人も受けるべきなのです。
 受戒してからの信仰生活の規範に三聚浄戒(さんじゅじょうかい)というのがあります。摂律儀戒(しょうりっぎかい)、摂善法戒(しょうぜんぼうかい)、摂衆生戒(しょうしゅじょうかい)の三つです。
 摂律儀戒とは、悪を止める意味で、身を修め慎むこと。在家の方ならば、五戒をたもつことです。五戒というのは
  1. 命のあるものを、むやみに殺さず。むしろ積極的に生かすこと。
  2. 与えられざるものを手にせず、他人の物を盗まず。困っているものを助け、他人を喜ばせる。
  3. 道ならぬ愛欲を犯すことなく、情愛は社会の秩序、子孫繁栄の元と心得て、謹厳に守らねばならない。
  4. 偽りを言ったり行ったりせず、常に真実を語り、正しい行いをする。
  5. 自制心を持ち、よこしまな考えをしないようにしよう。他人に迷惑をかけたり、自分の健康を損なったり、子孫に悪い影響を残さないように広く解釈すると、常に心身の平静に心掛け、正しい行動をとる状態にあること。
 摂善法戒とは、善いことを進んで行うことで、心の安住を得て、積極的に自分の業務に全身を捧げることです。
 摂衆生戒とは、世の為、人の為になることをしようと決心することです。
 その他に十善戒や十重四十八軽戒などがありますが、要するに悪いことはしない、善いことは進んでしましょう。世の為人の為に尽くそうと言うことで、そうした行為は戒香の薫るようにゆかしいもので、また戒の鎧を着けたようで犯し難いものだと言われます。

 七仏通戒偈

 諸の悪は作すことなかれ。諸の善は進んで行ぜよ。
   自らの意を浄くす。是れ諸仏の教なり
掲載日:2004年03月24日

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