天台宗について

法話集

No.221巡禮

 私は寺社仏閣と、西国板東秩父巡禮、四国遍路東北各地区の、巡禮先達を永くやってきました。今はご朱印ブームで若い方が多く驚いています。
 最上巡禮は子歳御開帳でありましたが、コロナウイルスの為二年延期となり、本年度十月まで御開帳です。

 昔、昭和四十年代頃は巡禮ではなく、順番の巡禮とお札に書き、大型バスに四十五人も乗り四泊五日の旅(温泉泊)で乗車時間も長くバスの中にて、般若心経御詠歌。耒迎会和讃を唱え、乗り物酔いしないように、声を出して練習し、さあさあー参ろよー法の山(若松へ)と各札所を参拝し、宿に到着し部屋に入る前に、ご朱印を頂く為、おいづりを着用しないでので、広間を借りローソクを供えおいづりに対して、お経御詠歌を唱えました。夕食には演会となり「死んで極楽願うより、生きているうち後生願いお札打ちして、湯治してこれが本当の極楽よ」と、真室川音頭の節で歌ったものでした。宿を出発する時も、玄関で「ありがたやお宿の恵みに身をやすめ、この世の功徳のちの世の為」と、御詠歌を唱えて出発でした。昔は丁寧に参拝致し、のんびりとした巡禮がなつかしく思い出されます。
 今はバスで先達する方も少なく家族個人参拝が多く、祈念し頭を下げる程度で帰り、忙しい世の中になりました。

 ご朱印とは、仏の分身を授与することと同じ意味をもち、お守りとして扱われる。集めれば極楽浄土への、ご招待とされてきたと、観音様の実印でもありますので、心を改め参拝したのち、ご朱印を頂いてほしい。スタンプラリーではありませんので、せめて般若心経だけでも唱えてほしい。
 ご朱印を押して下さる方も、お袈裟を掛け御本尊名か御真言を唱え、ご祈念して頂きたいものです。ある巡禮の本に、ご朱印は極楽行きの特急券といっても過言ではない「私の身体についているおいづりと持参の納経帳をごらん下さい。霊場を巡拝して生かされていることに感謝し、仏様のご朱印を頂戴してきます。」と。その時エンマ大王は、その行為を誉めたたいて四十九日の満中陰をもって、必ず仏の世界につれてくれると名記されていた。

 自分の心も行いも正すことなく、祈ることによって、救われることは間違いであり、巡禮は心の旅であり、心をみつめなおし、心を浄化することによって、救われてゆくのである。同行二人観音様と常に一緒であり、観音様の慈悲(己を忘れて他を利する)心を起し、自分さえよければではなく、回りのの方にも配慮し助け合い楽しく二世安楽を願うことにより、ご利益も授かり、思い出の多い巡禮になることでしょう。


(文・山形教区 和光院 和田 善照)
掲載日:2022年11月01日

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