天台宗について

法話集

No.52霊場巡り

(問)今年の三月で仕事を定年退職しました。今まで忙しくて「そのうち、そのうち」と思っていた霊場巡りに、先輩の誘いもあってようやく出かけてみようかと思います。予備知識としてご指南下さい。

(答)さて「○○霊場巡り」というのは全国にいろいろとあるわけですが、中でもよく知られているのは、観音さまゆかりのお寺を巡る西国三十三か所、板東三十三か所、秩父三十四か所の百観音巡礼や、弘法大師の足跡を巡る四国八十八か所遍路でしょう。
 服装は、昔は白装束に菅笠といった具合にしきたりがありました。これは同じものを身に着けることで、仏さまの前では誰もが平等であることを表わしているそうです。もちろん白装束が一番ですが、今では清潔な服装に歩きやすい靴、輪袈裟と念珠をお持ちになれば結構かと思います。あまり華美な服装はご遠慮下さい。
 霊場巡りでは、「ご朱印」または「納経」とよばれるお寺の宝印を、掛け軸や帳面、笈摺(おいずる)にもらって回ります。これは経典を書写してお寺に納めたことの証明のハンコに由来しています。笈摺は亡くなったときにお棺におさめてもらいます。中には仏さまにお参りをせずに朱印だけという方もあるようですが、決してスタンプ集めではありませんのでご注意ください。菩提寺やご本山の比叡山延暦寺にも是非ご参拝下さい。
 また「納め札」と呼ばれる細長い紙に、願い事や戒名、氏名等を書いて納めます。昔は、金属や木でできた納め札をお堂の柱などに打ち付けたそうで、「札所」という言葉や、一番から回るのを「順打ち」、終わりから回るのを「逆打ち」といった言葉もここから生まれたそうです。
 霊場巡りは、ご先祖の供養のため、また心願成就のため、健康のためと、きっかけはさまざまかと思いますが、その功徳は巡ってみてはじめてわかるものだと思います。また、一度回れば終わりではなく、次は是非とも先達としてお友達をお誘いしてお回り下さい。幸いなことに仏道修行には定年はありませんから。
掲載日:2008年06月24日

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