天台宗について

法話集

No.228善い面を見るこころ

皆様、6月は好きでしょうか?
「梅雨の季節でジメジメしていて嫌い」
「暑くて蒸し蒸しして嫌い」
などあまりいい印象を持たない方も多いかもしれません。
私は好きです。紫陽花の花が大好きでして、雨に濡れた紫陽花は一層につややかで見ていてとても心が洗われます。雨に濡れた紫陽花は6月しか見ることができないため、紫陽花の季節に雨が降ると大変嬉しく思います。

何事にも善い面、悪い面がございます。何かと悪い面に目が行きがちですが、悪い面ばかり見ていると
「あれはダメだ、これもダメだ。」
と何もかもが物足りなく感じられ、何もやる気が起ころうとしません。それどころかイライラが溜まり、気分も暗くなってしまいます。
これは人付き合いにも言えることでして、人の悪い面ばかり見ていてはイライラが溜まりお互いにいい思いをしません。

毎年、”比叡山から発信する言葉”というものがございます。令和五年は「開発真心(かいほつしんしん)」です。
開発真心とは、嘘、偽りのない真実の心「真心」を込めれば必ず相手にも通じる。相手にも通ずるその心は、みんなに具わっているほとけのこころ(仏性)。お互いの仏性を開き発こして、目覚めさせようという想いが込められております。
このように真心を込めようとしても、人の悪い面ばかり見ていたのでは嘘、偽りが入り込んでしまい、相手に通じにくくなります。逆に人の善い面を見て相手に接すると心も穏やかになり、きれいな真心を持って相手に接することができるようになります。
誰にでも必ず善い面がございます。本人は自覚していない、あなただから気付ける相手の善い面もあることでしょう。目の前の一人ひとりの善い面を見るようにすれば、真心も相手に通じ合います。そして、お互いのこころに仏性の光が照らされ、こころが軽くなり、穏やかな日々を迎えることができます。
人の善い面を見ることができるこころは大変素晴らしいです。ぜひそのこころを日々の生活で育んで頂ければと思います。


(文・北陸教区 國分寺 松浪 圓聖)
掲載日:2023年06月01日

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