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法話集

「ゆめ」をあきらめない

 新年あけましておめでとうございます。

 皆様、年頭に当たりそれぞれに色々な夢を描いていることでしょう。そのような皆様にアフリカのケニアで自分の夢に向かって頑張っている一人の少女について話をしたいと思います。

 ケニアは動物王国・観光の国と言われています。しかし、国民は1日100円以下で生活する貧困層が60パーセントを超えるという現実を抱えています。首都ナイロビ市にはいくつかのスラム街があり、貧困・暴力・犯罪等が多発する地に数万人が暮らしています。
 少女の名前は「アン・ワンゴイ」。
 4歳だった彼女は、スラムの中で壊れかけた小屋に病気のお祖母さんと兄と暮らしていました。
 マトマイニ孤児院の菊本照子院長は、3人を訪ね、その生活ぶりを見て即座に引き取ることを決めたそうです。
 ナイロビ郊外にある「マトマイニ(スワヒリ語で希望)孤児院」は、エイズ感染や事件で親を亡くしたり、育児放棄で孤独になった子ども達が人として当たり前の生活や教育を受けられることを願って設立された施設です。
 入所当初の彼女は、基本的な生活習慣が身についておらず、靴を履かずに投げ捨てたり、部屋の片隅に身を置き一人で泣いていたりしていました。
 小学生になっても時々ストレスを仲間にぶつけたりしていましたが、同じ経験を持つ施設の兄弟姉妹たちは、アンの境遇を理解して優しく接していました。
 そんな中、唯一、アンが落ち着ける場所がありました。台所です。
 料理が大好きなアンは、台所ではいつも歌を歌いながら優しい顔を見せていました。
 学校の成績が良くなく上級学校の進学を諦めた彼女は料理の職業訓練校へ進学しました。施設から教科書・制服・授業料等の支援を受けて勉学に励みました。努力の結果、上位の成績で卒業したアン「私は、もっと料理を勉強したい。」との希望を実現するために上級クラスを目指しました。
 アンが幼いころから自分の心を支えてくれた「料理」。その料理に必要な材料名・道具の種類・レシピのスペル等を必死に勉強。数か国の言語も身に着けました。
 卒業後、ワンガリマータイ女史(ノーベル平和賞受賞)のパーティーの手伝いや孤児院の食事の手伝いなどをしていく中、「もっと別な世界で働いてみたい」と夢が膨らみました。
 現在のアンは、ドバイの7つ星ホテルで多くのお客様の接待を任されているそうです。
 ケニアへの帰省では、マトマイニの弟妹にたくさんのお土産とホテルの様子を話してきかせます。一番嬉しいお土産はアンの輝く瞳と優しい笑顔です。
 マトマイニの子ども達はアン姉さんから「何事も諦めないという大きな勇気」を貰っています。
 貧しく苦しく思い通りにならなくとも、自分のおかれた状況を前向きに捉えて生きる姿に勇気をもらうことができますね。


(文・東京教区 金蔵寺 藤田 泰道)
掲載日:2016年01月01日

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