天台宗について

法話集

No.21追善供養(ついぜんくよう)

 今年も早、秋のお彼岸の頃となりました。夏のお盆にいろんな供養をしてお迎えしたご先祖様も無事に彼の岸にお戻りいただいたことでしょう。そしてこの秋彼岸の頃、大事なことはこのご先祖様に対して更に追善供養することです。
 そもそも追善というのは、亡くなられた方の冥福(めいふく)を心より祈り、善い事を後から追って修するという意味です。私たちは善い事も悪いことも積み重ねながら、この娑婆世界で暮らしております。
 さまざまな経験を積み、その過程で自分の心中を見つめ、静かに自己反省(懺悔)しながら、自分の人格を磨く努力を重ねていきます。みなさんも十人十色、いろいろな方法で善業を積み重ねていらっしゃることでしょう。
 ご先祖様のもとへ、善業を積んだ時の慈悲・慈愛の心をお届けし、その功徳によって、安らかな極楽世界に往生出来ますようにと願いを込めて供養するのです。
 我々は宇宙の生命の恩恵により、運命共同体として互いに依存しあっています。追善供養の法会(ほうえ)では、香を焚き、花を供え供養いたします。この香煙やお花は「自分がいる世界だけでなく、全ての世界、仏の世界にまで漏れることなく満ち満ちていく」そんな想いで供養することが大切です。そうして、仏様や、ご先祖様、自分、その他の宇宙の生命とは全て一体であると自覚・確信できる境地にいたると法要も素晴らしいものになります。
 ご先祖様にと想いながら施し供養する心や行為が、他の生命だけでなく、自分自身をも救うことにつながるわけです。僅かな時間でも、素直な心で妄念(もうねん)を止め、正しい智恵と慈悲の心をもって供養すれば、その気持ちは必ずご先祖様に通じることでしょう。
掲載日:2005年08月08日

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