天台宗について

法話集

No.34お正月

 お正月といいますと、新しい年を祝うお祭りのようにも思われますが、本来はお盆と同じように、ご先祖様をお迎えし、ご供養する宗教的な意味合いが含まれているのです。
 「月籠(つごも)りの夜、亡き人の来る夜とて、魂祭(たままつ)るわざは、この頃にはなきを、東(あずま)の方には、なほすることにてありしこそ、あわれなりしか」
 これは徒然草(つれづれぐさ)に見られる大晦日(おおみそか)の様子ですが、このように昔はお正月にもご先祖様を迎えてともに一年の幸せを願ったものとされていました。
 初詣、門松、しめ飾りなど昔から慣れ親しんだお正月の風物詩にもそういった意味が込められているのです。だれもが最も日本人らしさを感じることができるのがお正月だといえます。
 ところでよく「一年の計は元旦にあり」といいますが、ご先祖様をお迎えしているよい機会でもあります、仏様に向って今年一年の目標をたててみてはいかがでしょうか。それも澄みきった清らかな心でたてることが大切です。
 「悪い行いはせず、善い行いをして、自らの心を清く保ちなさい」ということが、いろいろなお経に説かれる仏様の教えのもとなのです。自分のことより他人の幸せを願えるようになることが、仏様のみこころに添うことになるのです。そうすればご先祖様も必ず喜んでくださるでしょう。
 さあ、晴れ晴れとした気持ちで新年を迎えましょう。まずは家族そろって菩提寺にお参りします。仏様やご先祖様はいつも変わらぬ清らかな姿で迎えて下さいます。
 「昨年はありがとうございました。今年もどうぞ見守っていて下さい・・・」
 こんなふうに家族そろって感謝し、手をあわせたいものです。
掲載日:2006年12月25日

その他のおすすめ法話

ページの先頭へ戻る