陰暦4月8日はお釈迦様の誕生を祝う行事、灌仏会(かんぶつえ)または仏生会(ぶっしょうえ)、誕生会(たんじょうえ)が催されます。一般には「花祭」の名が知られ、お釈迦様にまつわる三大法会(成道会(じょうどうえ) お悟りを開いた日12月8日、涅槃会(ねはんえ) ご命日2月15日)の一つです。現在は陽暦の4月8日か、5月8日に各地の寺院で行われています。
当寺院ゆかりのこども園でも、5月8日頃花まつりが行われます。本堂にシャクナゲやツツジなどの花で飾られた花御堂(はなみどう)が据えられ、中にお盆が置かれ誕生仏が安置されます。
園児達は宗歌を歌い、法話を聞き、先生手作りのペープサート(日本仏教保育協会編集おしゃかさまのおたんじょう紙芝居参照の紙人形劇)を見ます。
物語には「かわいい王子様が誕生しました。そして、そのまま直ぐに立ち上がり、七歩あるくと、天と地を指差して、「天にも、地にも、わたしにまされる聖者なし」と力強く宣言しました。お釈迦様のお誕生です」とあります。「天上天下 唯我独尊」―お釈迦様の初めての言葉です。これを解釈しますと、王子様の六歩のあゆみは、数多くの前世において様々な世界(地獄(じごく)、餓鬼(がき)、畜生(ちくしょう)、修羅(しゅら)、人(にん)、天(てん)の六道)に生まれ変わり死に変わりして、多くのもの達と出会ってきましたが、皆迷いの世界で苦しむもの達ばかりであったことを表します。そして七歩目は釈迦族のシュッドーダナ(浄飯(じょうぼん))王とマーヤー(摩耶(まや))夫人(ぶにん)の間に生まれて、成長し、真理を求め、悟り、教え導く者となり、出会う悩み苦しむもの達を救おうと思われたことを表したのではないでしょうか。
「おしゃかさまのおたんじょう」のペープサートが終わると、子ども達は皆で元気に「おはなあげましょ ささげましょ きょうはこどものはなまつり にこにこげんきなおしゃかさま みんなでおいわいいたしましょ」と『こどもの花まつり』を歌います。そして、順番に甘茶をスプーンで掬って誕生仏にかけ、小さな手を合わせて祈りを捧げていくのです。
幼い子ども達には、お釈迦様が王子であった頃の様に素直で(仏)、明るく(法)、やさしい(僧)人に育ってほしいと願っています。
(文・茨城教区 觀音寺 松居 照邦)