天台宗について

法話集

No.24それぞれの光

 阿弥陀経(あみだきょう)というお経に、極楽の池にある蓮(はす)の美しさを説いた処がある。「青い花は青い光を放ち、黄色の花は黄色の光を、赤も白もそれぞれの色の光を精一杯放って、互いに相手を照らし照らされている実に美しい蓮の池。他の蓮の花よりも我が美しいと自慢することもなく、劣ると卑下(ひげ)することもなく、それぞれの色光(カラー)を大事にすることで、全体が大きく輝いている」と説かれている。
 大企業に入社して世界を飛び回ることもいい。炎天下、額に汗してトラクターを操るもいい。美味しいラーメンを打ち込んでいる姿も美しい。つまり一人ひとりが、己が特性に目覚めて、一途に打ち込んでやっていくことが大切と思えるのだ。
 昔も今も、子どもに勉強しろと言い、良い成績をとらせて、よい学校に入れようと日夜教育について奮闘する親が多い。こうした子どもの特性を無視したつめ込み主義が、はたして自分の特性に目覚め一途に打ち込む美しい姿の大人となるだろうか。早、今年も暮の月を迎え愈々来年、天台宗が開かれて1200年を迎える。この年からこそそれぞれの子どもが、それぞれのカラーを出して、相互に照らし、極楽池の蓮のように美しく輝く世界になるように祈りたい。
掲載日:2005年11月30日

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