天台宗について

　縁結びの神社やお寺は全国各地に多くあります。恋愛や結婚のお願いで縁結びのお参りに行ったという方もいらっしゃることでしょう。
　私は妻子がいる今でもこの良縁成就には強い想いがあります。

先に断っておきますが、決して妻以外の女性と新たに出会いが欲しいと言う意味ではありませんよ。

　良縁というのは「素晴らしい縁（巡り合わせ）」と私は考えています。日常の中で私と他の人が良い巡り合わせになることを祈っております。つまり【良縁】とは恋愛に限った話ではないのです。
　例えば、檀家さんがお寺に法事・お墓のことや更には家族のことなど色々な悩み・相談で来られた時に私が話した事でその方にとって良い方法などの道が標せたのであればこれほど嬉しいことはありません。反対に良い方法が見つからず悩みを持ったまま帰られたのであれば、自分の力不足を反省します。
　つまり私にとってある１日が良い人間関係で過ごせたのであれば、それは相手にとっての良い人間関係の一部になれたのではないでしょうか。だから私は今日１日が良い人間関係(縁)で過ごせるように毎日祈ると共に自分に言い聞かせております。まぁ人間なので失敗した日も少なくはありません。ただそこに明日は！と毎日反省をしながら過ごしていくのが大切であると考えています。

　人の悩みの大半は日常生活の人間関係であり、この悩みはお釈迦様の時代にもあり、どの時代でも無くなることはなく、今でも解決方法を模索しているのが現実です。更には新型コロナウイルスや災害が多発している現在ではストレスも多く、自分のイライラを別の問題にすり替え他者を攻撃することでストレスの捌け口にしていることがあるかと思います。これでは【悪縁】ばかりが蔓延してしまいます。
　人の悩みは尽きないけれど１つの悩みが解決すれば、人は他人に優しくなれると私は信じています。悩みを解決することは簡単ではありません。しかし、解決するために一緒に悩む行動や解決方法を見つける努力をすることは、仏道の「皆と共に」の根本精神であると思います。
　多くの方が【良縁】のために努力いただき、多くの【良縁成就】が成りますように手を取り合って【共に生きる＝共生】していただくことを望んでおります。


（文・群馬教区　永福寺　谷 晃仁）