天台宗について

法話集

No.30「回向」について

 「回向」は「廻向」とも書きます。文字通り、自分が積んだ善根の功徳を、自分のためではなく、他の人のために回(まわ)して向けることを言います。
 わかりやすく言えば、ご法事に参列した人々が、それぞれ自分が積んできた善根の功徳の一部を、今日のご法事のために振り向けて下さいと念じて、お参りすることです。もちろん、ご法事を営むこと自体に大きな功徳が在るわけで、それが故人に回向されるのは当然のことですが、同時に参列する人々にも、是非そうした気持ちでおまいりしていただきたいと思います。
 ただ、その場合、自分の積んだ功徳を故人に分けてやるというような、驕(おご)った気持ちは捨てなければなりません。
 あくまでも、仏さまのお力をお頼(たの)みして、善根の功徳を故人にお供(そな)えさせていただくという謙虚(けんきょ)な気持ちが大切なのです。
 お供えといえば、よく「ご供養」という言葉をお聞きになると思います。
 これも、回向と同じように、品物や善根の功徳をお供えして、故人の極楽往生の糧(かて)を養うことと言ったらいいでしょう。
 さらにまた、「追善供養」という言葉もあります。普通は故人を弔(とむら)うためのご法事の意味に使われていますが、実は追善供養というのは、文字通り、後ろから追いかけて故人のために善い行いをして、それを供養することなのです。
 ご法事に参列される時には、是非この気持ちでおまいりしていただきたいのです。
掲載日:2006年07月28日

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