天台宗について

法話集

No.71涅槃会(ねはんえ)

 二月十五日はお釈迦さまが八十年の生涯を終え涅槃に入られた、すなわちお亡くなりになったご命日です。そこで世界中の仏教徒が、お釈迦さまのお徳を慕い報恩感謝の気持ちをあらわす記念の法要をこの日に営んでおります。この法要を「涅槃会」といいます。
 日本で一番先にこの法要を営んだのは奈良の興福寺といわれていますが、天台宗では比叡山横川において平安時代、恵心僧都源信が行ったのが最初とされております。この法要では、昔からお釈迦さまの「涅槃図」をかけ、「遺教経」というお経を読誦します。涅槃図には、お釈迦さまが沙羅双樹(さらそうじゅ)の下で、頭を北にお顔を西に向けて横たわり、そのまわりには多くのお弟子さんを始め、すべての生き物が嘆き悲しんでいる様が描かれております。
 そもそもこの「涅槃」という意味は、寂滅とか寂静とか難しい意味がありますが、わかりやすくいいますと「吹き消す」という状態を示されたのであります。丁度焚き火が燃えつきたように、全ての煩悩の炎が消え、心の波立ちがおさまり安らいだ状態です。
 私たちには、数多くの煩悩があり、それは物事への執着から生ずるといわれております。愛情や好悪、浄・不浄などへの固執もそれにあたります。この機会に物事に執らわれている自分の心を見つめ直してはいかがでしょうか。
掲載日:2010年01月21日

その他のおすすめ法話

ページの先頭へ戻る