天台座主猊下新年ご挨拶

新年のご挨拶

天台座主 森川宏映

新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、清爽の気みなぎる初春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

 昨年は、天皇・皇后両陛下の御即位、そして新元号が公布され新たな御代が始まりました。またラグビーW杯での日本チームの活躍や、ノーベル化学賞受賞など、日本国民にとって誇らしい出来事があり、国中に笑みが溢れたことは、真に喜ばしいことでした。

 しかし、その反面、悲しむべき出来事も多々ありました。国内では、8月の九州北部での豪雨災害、7月のアニメ会社放火殺人事件、さらには関東・東北地方を中心に襲った台風15号・19号による大災害がありました。こうした事件、災害に合われました方々には衷心よりお見舞い申し上げます。

 さて昨秋、ローマ教皇フランシスコ聖下が来日されましたが、わたくしも広島での「平和のための集い」に参列させていただきました。平成28年以来の再会に、笑顔で応えてくださり固い握手で友情を確認しあいました。平和メッセージでは、核兵器の使用を非難され、「真の平和とは非武装の平和以外にありえません」と述べられ、その強い姿勢に共感した次第です。神仏から授かった私たちの“いのち”を、人間が作り出した核兵器によって奪うことはあってはならないことです。それは「己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」という伝教大師の御精神にも通じることでありましょう。

 昨年は天皇陛下御即位奉祝法要を奉修し、同時に一隅を照らす運動50周年記念行事を執り行いましたが、いずれも伝教大師の御心を現代に活かした内容でありました。

 本年もみ教えを心に、宗内一丸となって明年の宗祖伝教大師1200年大遠忌円成に進んで参りたいと存じます。皆様のご多幸を心よりお祈りし、新年のご挨拶とさせて頂きます。

天台座主 森川宏映

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