天台宗について

法話集

No.7こどもの日

 5月5日は「こどもの日」でございます。昔から男の子に親しまれた端午の節句であります。
 しかし、この「こどもの日」は、決して男の子だけを対象としたものではなく、もちろん女の子も含むわけであります。
 要するに、季節的にも非常に良い時期で、こどもにゆかりのある日として決められたのであります。
 女の子にしてみれば、3月3日でもよいではないかという考え方もあるかも知れませんが、3月3日頃は、東北、北海道地方などでは、まだ雪が残っていて、全国的な行事としては3月3日よりは5月5日の方が良いということで、5月5日が選ばれたわけであります。
 この日は「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに、父母に感謝する日」といわれております。
 こどもの日が定められたことは、成人の日が取り上げられたことと共に、特に次の時代の人に大きな期待をかけていることを表すものであって、すべての国民がこぞってすべての子供を祝い、その幸福を図ろうとするものでありまして、更にこどもの人格を尊重し、大人と同様に生きる権利を持つ一個の独立した人間として見ようとするものであります。これに加えて、こどもを育て上げるには父母のお陰であるから、こどもの日にはその父母に感謝しなければならないということが併せてその趣旨に含まれているのは誠に結構なことと思います。
 よく言われることですが、こどもの誕生日も年々派手になり、小学生などは級友を呼んで賑やかにやり、反面、呼ばれなかった子との間にトラブルを起こしたりするようになってきているそうですが、本来は、誕生日は「母の受難の日」ともいわれていますように、こどもを産むということは、母親にとっては大変な事だと思われます。
 取り分け、この苦しみを乗り越えて産んでくれた母親に対して感謝の気持ちを植え付ける意義も含まれているわけでありますが、今の「こどもの日」にご両親に感謝しなければならないという意義を知っている人がどの位いるでしょうか。
 こどもの成長を願うことは大変結構なことですが、この陰に隠れている両親、特に母親の苦労をこども達に十分理解させることも大切なのではないでしょうか。
掲載日:2004年03月24日

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