天台宗について

法話集

No.235「一隅を照らす」を考えてみましょう

▼場面
観光バスの添乗員さんから「住職何かお話をお願いします。」と突然依頼を受けた時にした法話
▼対象
50代~80代くらいの男女(天台宗門徒ではなくいろんな宗派の方々)

『一隅を照らす』という言葉を聞いたことがありますか?
天台宗では、この『一隅を照らす』という言葉は開祖伝教大師様がおっしゃった言葉で「一人ひとりが自分のいる場所を自ら照らせばそれが積み重なってこの世全体が照らされる」
『照らす』とは 思いやりを持った考えや行動と思ってください。

みなさん生きていくと差別と区別に直面しませんか?
差別とは、人の感情が含まれ満足感を支配する区別のことです。
区別とは、個々を尊重した上で存在する『違い』のことです。
生まれながらにして男女という区別があり生活環境によってその後いろんな区別が生まれてきます。
私たちは、差別をすることなく個々を尊重しあい、一隅を照らす精神で日々生きていく必要があります。みんなが一隅を照らす精神を持てば差別がなくなり、お互いを尊重しあえる素晴らしい世界が実現します。

人間の究極の幸せは、①人に愛されること ②人に褒められること ③人の役に立つこと ④人に必要にされることだそうです。 
私たちの生活は、一期一会の繰り返しで諸行無常(移り変わること)の中にあり、諸法無我(お互いが影響しあうこと)でありみんなが一切皆苦(苦=思い通りにならないこと)です。お互いを思いやり尊重しあえる世界こそ私たち僧侶だけでなく一般の方々にも実行して頂きたい世界です。

人生は、五十音順と同じです。『あい(愛)』をもらって生まれ『をん(恩)』を返して終わります。その間の『う』~『わ』を一隅を照らす精神を持って生きていきましょう。


(文・九州東教区 長安寺 松本 量文)
掲載日:2024年01月01日

その他のおすすめ法話

ページの先頭へ戻る