天台宗について

法話集

No.66お供え

(問)仏さまにはなぜお灯明やお花をお供えするのですか。

(答)仏さまをお祀りする時、「香華灯塗(こうげとうず)」と言って、お香をたき、香を塗ってお花を供え、お灯明(とうみょう)をつけてお祀りするのが通例となっております。これは昔、インドでお客様をご接待する時の作法からきています。インドでは貴人をご接待する時に、お客さまが家に着かれると、まず、きれいな香水でその汗を流し、身体に香を塗ってさしあげます。インドはとても暑い国なのでそうするのです。香を塗ると気持ちが落ちつき、リラックスします。お客さまに爽快な気分になっていただくということと、消毒や害虫から身を守るという意味ももっています。次に季節のお花で髪かざりをつくり、お客さまの身体に飾ってさしあげます。そしてお客さまの身支度が整ったら、ご馳走をしてもてなすのが本式の接待の作法になります。
 菩薩の修行法である六波羅蜜(ろくはらみつ)では、香は精進波羅蜜(しょうじんはらみつ)、華は忍辱波羅蜜(にんにくはらみつ)、灯明は智慧波羅蜜(ちえはらみつ)にたとえられています。精進とは、目標に向って最後まであきらめずに、一生懸命努力することをいいます。火をつけたお線香は最後の最後まで燃焼し、そのさまは精進波羅蜜に通じます。人は花を見ると「きれい」「美しい」と心がなごみ自然と落ちつきます。これは柔和忍辱(にゅうわにんにく)の姿ですから、忍辱波羅蜜に通じます。灯明は仏さまの光、智慧を意味します。悩みや欲といった煩悩の闇をこの智慧(ちえ)の光が照らし、あかるくしてくれるところから智慧波羅蜜に通じます。
 お寺参りやお墓参り、自宅のお仏壇等、お参りをする際には、香華灯塗をおあげしてお参り下さい。 
掲載日:2009年08月24日

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