天台宗について

法話集

No.233平和を祈る

 今年も8月比叡山宗教サミット「世界平和の祈りの集い」が比叡山で開催されました。
 1987年から始められて以来36年、仏教やキリスト教、イスラム教など多くの宗教代表者が平和の祈りを捧げられました。
 しかし世界を見渡すと各地で戦争やテロなどの戦闘行為、気候変動による自然災害が多発するなど私たちの環境は厳しさを増しているように感じます。
 このような時こそ改めて私達一人一人が神仏のお力を信じ「祈る」ことが大切ではないでしょうか。

 この「祈る」という文字の語源を調べると「斎(い)告(の)る」とあります。※諸説あり。
 「斎」の「い」とは神聖なものに向かい身心を清めることを指し「告る」の「のる」とは告げる、宣言するという意味です。意味を調べると①神や仏に祈る②心から望む。希望する。念ずる。とあります。
 さらに漢字で「祈」の成り立ちを調べると左の「示」「しめすへん」は神仏にお供えを捧げる台、神仏を祀る祭壇を表します。右の「斤」は距離や時間を小さくする「近」にも通じ、神仏に祈ることで幸福に近づくことを願う姿を意味しています。

 天台宗でお唱えする『法華経』の「観音経」には「念彼観音力」と観音様を心に念じ祈ることで、私たちを火難、水難などの災難からお救いくださると説かれています。
 観音様をはじめ、すべての仏様はいつも私たちの迷いや苦しみ、怒りの原因を取り除き、私たちを安心へとお導き、寄り添ってくださっています。
 仏様に思いを馳せること、謙虚な心で相手をおもいやること、それが平和への第一歩だと思います。
 仏様に改めて感謝すると共に、仏様の教えを胸に刻み、世界の皆様が平和で安心を取り戻せますように、世界が平和の境地になりますように祈ります。合掌


(文・南総教区 弘行寺住職 片岡 俊陽)
掲載日:2023年11月01日

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