天台宗について

法話集

No.77大袈裟(おおげさ)

 もう役にも立ちそうにないぼろ布の断片を四角に切り、縫い合わせて作ったものが、「袈裟(けさ)」の原初といわれます。色褪せた衣を五列つなげば五條袈裟。同じように七條袈裟、九條袈裟・・・と種類もあります。中国以東では寒さの為に袈裟の下にも衣をまといますが、右肩を露わにする風習は残りました。これは今でも「右は清浄である」という意味から相手を敬う格好の顕れであります。
 サンスクリット語の「カシャーヤ」の音写語である「袈裟」は、現在では本来の意味と大分違って、金襴の刺繍が入っていたりして、派手な図柄も多くみうけられます。でも幾枚もの小さな布を綴り合わせた作り方に、往時の名残りがとどめられているのです。
 儀式などに用いられる袈裟は、それこそ仰々しい位の衣装もあったりして、周囲からすればいささか度が過ぎた「大袈裟」ぶりが、この言葉の語源でしょう。
 こんなところから、実際の内容とはかけ離れた話や行為を「大袈裟」と表現するようになったと思われます。
 いつの時代でも大袈裟な人はいますが、呉々もあまり、悪い意味に用いられないよう気をつけたいと思います。
掲載日:2010年08月02日

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