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今から一千二百年前、比叡山を開かれた伝教大師最澄上人は「六根相似(ろっこんそうじ)の位を得ざるよりこの方 出仮(しゅっけ)せじ」という言葉を残して、敢然(かんぜん)と比叡山に籠もり修行に明け暮れました。六根相似とは、見たり聞いたり、考えることなどが、ほとんど仏さまと同様になることです。すなわち六根が清浄になることです。出仮とは、山から下りて社会に出て僧侶として働くことです。このようにして比叡山で厳しい修行をした最澄上人は、なぜ修行の場に比叡山を選んだのでしょうか。その理由のひとつに、中国のお釈迦さまといわれた天台大師の修行の指南書(しなんしょ)『摩訶止観(まかしかん)』の中に「閑居静処(げんごじょうしょ)・息諸縁務(そくしょえんむ)」などと書かれているところがあげられます。人里離れた静かなところで、社会的つながりを一時的に断って、集中的に修行することの大切さを説いているのです。そして比叡山について最澄上人は次のような歌を詠んでいます。