天台宗について

法話集

No.258香食

お寺でご法事を行う際、故人の位牌、遺影を飾り、お花、供物をお供えし、お線香をお上げします。
法要中には参列された方々にお焼香をしていただきます。
法要後にはお墓へ行き、そちらではお線香を焚きます。
お焼香、お線香を上げることの意味は、亡くなられた故人さまへ、食べ物のお供えをしていることになります。これを仏教の言葉では『香食(こうじき)』と申します。
食堂(しょくどう)、食パン(しょくぱん)と、一般的に食べると言う字は『しょく』とお読みしますが、仏教読みにすると食は『じき』とお読みします。因みにお坊さんの世界では食事をする場所は食堂(じきどう)と言います。
故人さまはこの香りをいただいていると言われています。
普段、私たちも日に何度か食事をします。その食べ物一つ一つには香りがあります。
ご飯を炊けば炊きたてのご飯の香りが。お味噌汁、卵焼き、うどん、カレーライスなど、すべてに香りがあり、この香りがあればこそ、私たちも食事を美味しくいただくことができます。
私たちもそうならば、故人さまも同様、この香りをいただいている訳です。
私たちは日々の食事を取ることにより、力が湧いて、元気でいられます。
仏壇でお参りをされる時、お墓参りの際、仏さまにも食事であるこの香りを差し上げてください。
お線香には白檀、沈香、伽羅などといろんな香りがあります。
どのお香がよいかと尋ねられることがあります。
みなさんが人に何かを勧める時に、自分で食べて美味しかったもの、使用して良かったものを勧めると思います。ですので、自分がそう感じた香りをお使いになると宜しいかと思います。
また、お線香から上がる煙りは、上への昇っていきます。
手を合わせ、心に想う気持ちが、この煙りにのって運ばれ、想いを伝えてくれています。
お経に『遍満十方法界』とあり、あらゆる仏の世界に、想いをいきわたらせるていると言われています。


(文・茨城教区 千福寺 小川 晃史)
掲載日:2025年12月01日

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