天台宗について

法話集

No.257ありがたいと思える人生

 ずっと昔、人間の一生は50年、60年と言われてきましたが今や100年の時代と言われる様なり、保険のコマーシャルなども百歳を設定した保険が売り出されております。

 私たちは50才 60才まではわき目もふれず、ひたすら前をみて突き進んできましたが、ある時期 退職、息子さんや、任される人に仕事任せ今までのグループから全く新しい社会人としてのグループの中におかれることが多くなると思います。その時これからの豊かな人生を過ごすために何か趣味を持たなくてはとか、積極的に人とのコミュニケーションをとらなければいけないと思ってしまいますが、それはいきなり始めようとしても無理な話で、そのこと自体得意な人もいれば、そうでなく嫌いな人もいるので無理やりそうしようとすることが苦痛以外なにものでもないと思います。むしろこれからの人生 いかに過ごし、穏やかに過ごすかが大事だと思います。今まで前しか見ていなかった人生と違い、過去を振り返ったり、違った目線で物事を見たり、新しい事に興味がわいたり、今までやってみたいと思っていたことに挑戦していいし、それはこれからの人生を豊かにしてくれるものだと思います。また そうしていると人に頼りにされる事も多くなると思うし、人に頼りにされる事は大変幸せな事、自分自身 体調不良や病を持っているかもしれない、でも人のために動けることは元気な証拠、幸せなことだと思い、頼りにされ、答えられることに感謝して「ありがたい、ありがたい。」と思い毎日過ごしてほしい。そこから新たなコミュニケーションも生まれてくるのではないでしょうか。

 人は長生きすればほとんどの人が程度に差はあるけれど1つや2つの病を抱えていますし、高齢になれば認知症の病もあるでしょう。仏教では人間の根本的な苦しみを四苦といい、生まれること、年をとること、病に侵されること、そして死を迎える事は人間として逃れられない苦しみとしています。最近では病でも認知症が大きく取り上げられるようになりました、認知度も大きな差があるにしても、自分にとって多少の病はしょうがないとあきらめ、少なくとも他人に迷惑のかからなく生きられれば十分だと思う、少しでも自分のコンデションを保ち故障しないようにあれこれ工夫することは必要でしょう。それは自分自身を養生すること、今はとても多くのサプリメントや健康器具、健康法などあらゆる健康に関するものがテレビや新聞、雑誌などで取り上げられていますが、どれも自分が健康になれるように思いがちですが必ずしもそうではなさそうです。自分に合ったものがあるはずですが、その前に自分自身が発する注意や感じを大事にしてほしいと思います。もともと人間には治有力を持っていますので体がうったえることを聞いてそれから薬や健康法、器具を試せばいいのではないですか。さらにそれが自分に合うか合わないか、あわなかったらやめれば良いのです。自分を信じることが大事なのではと思います。今医療はすさまじいスピードで薬や医療技術が進化し、昔治らなかった病気やケガも完治するような時代になりました。今後はもっと進化して 人間100才と年齢は可能なことなのかもしれません。


(文・群馬教区 観音寺 角田 興憲)
掲載日:2025年11月01日

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