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法話集

No.220復活、京都五山送り火とポストコロナ

 令和四年八月十六日、三年ぶりの京都五山送り火が開催されました。NHKのBS1に五山送り火がライブで写し出されています。中継少し前から京都はカミナリを伴う大雨、松明が消えてしまわない様に、何百年も続く年中行事を祈りを込めて見守りました。幸いに雨は二十分程で小降りに成り、見事五山送り火が完全復活しました。一時間の番組では、松明を守る方の一年間の準備、山の山頂まで四十分かけて1人で運ぶ様子、火床には護摩木が組まれていたり、卒塔婆が建立されていたり、歴史有る仏教行事に改めて驚かされました。五山に送り火が赤々と燃えているライブ映像に、非常に感動致しました。

 お盆の行事は亡くなられた愛する人、御先祖様を家にお迎えして一時一緒に過ごす、亡き人と生きている者が一年に一度交流するとても日本らしい宗教行事です。新型コロナウイルスの影響で、人との交流や外出の回数が減りました。東日本大震災の時「絆」とよく言われました。大災害の苦しみや痛みと向き合えたのも「ああ、繋がっている」と実感できたから、受け入れることが出来たのだと思います。しかし、コロナは違います。コミュニケーションの機会が無くなりました。一方ネット情報の重要度は増しました。ZOOM、リモート、二年前は一部の人しか知らなかった言葉を今は小学生でも知っています。

 ZOOMでの法要、ZOOMでの墓参り。今まで想像もしなかった事が、急速に広がっています。五山送り火のライブ放送もそうだと思います。これからは、リモートを活用しながら宗教本来の有り方、対面での対応を増やし、今しか出来ない祈りの形、祈りの持つポテンシャルを信じ、心の声に耳を傾けて皆様の不安に寄り添うことが、私達宗教者の役割だと思います。

 繋がりましょう、祈りで。


(文・神奈川教区 幸福寺 須藤 大惠)
掲載日:2022年10月01日

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