天台宗について

法話集

No.96四諦・八正道(したい・はっしょうどう)

 1月の「六波羅蜜」2月の「無財の七施」に続き、今月も普段の生活の中で是非心がけていきたいことについて紹介させていただきます。
 釈尊は2500年前、悟りをひらかれた後、ヴァーラーナシーのサールナート(鹿野苑)で、初めて法を説かれました。これを初転法輪(しょてんぽうりん)といいます。この時の説法の内容が仏教の根本教説である四諦・八正道の教えであるといわれています。
 「諦」とは「真実」の意味で、1.苦諦(くたい)とは、人生の真相は苦(前述の「四苦八苦」参照)であるという真実。2.集諦(じったい)とは、苦の原因は自己の欲望・煩悩であるという真実。3.滅諦(めったい)とは、一切の欲望・煩悩を断じ滅して、それから解放されれば、悟りの境地に達することができるという真実。4.道諦(どうたい)とは、この悟りの境地に達する実践法が八正道であるという真実のことです。
 つまり、人生の真相である苦から脱する方法の一つに、八正道の実践をあげています。八正道とは、理想の境地に達するための八つの道、すなわち次のような八種の正しい生活態度のことです。【1】正見(しょうけん)正しい見解。自己中心的な見方や、偏った見方をせず、正しい物の見方を心がけること。【2】正思惟(しょうしゆい)正しい決意。自己中心的な考えを捨て、貪瞋痴の三毒に惑わされず正しく考えること。【3】正語(しょうご)正しい言葉。妄語(嘘)、綺語(無駄話)、両舌(両方の人にそれぞれ相反することを言って仲違いさせる言葉、二枚舌)、悪口(あっく)(粗暴な言葉を使う、人をあしざまにののしること)をせず、正しい言葉使いを心がけること。【4】正業(しょうぎょう)正しい行い。貪瞋痴の三毒を離れ、正しい行いをすること。【5】正命(しょうみょう)正しい生活。世の中の為にならないことや、人の迷惑になることをせず、収入を得て、規則正しい健全な生活を送ること。【6】正精進(しょうしょうじん)正しい努力。正しく励み、努力をすること。【7】正念(しょうねん)雑念をはらった心の安定した状態。物事の現象にとらわれないで常に真理を求める心を忘れないこと。【8】正定(しょうじょう)精神を統一して心を安定させること。心の動揺をはらって、安定した迷いのない境地に入ること。以上が八正道の内容です。
 釈尊は、上に述べたような四つの真実(四諦)を熟知し、八正道を実践すれば、一切の苦しみから解脱できると説かれたのです。
掲載日:2012年02月13日

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