天台宗宗務総長 新年ご挨拶

み教えの一灯を掲げ

天台宗宗務総長 阿部昌宏

皆様、新年明けましておめでとうございます。

 大樹孝啓天台座主猊下におかれましては、御年100歳をお迎えになられ益々ご健勝にて、我々宗徒の先頭にたって宗内の諸行事や総本山の法要などに日夜ご精励くださっておられます。誠にありがたく宗徒並びに檀信徒一同、ご同慶の至りに存じます。御法体お健やかに、我々をお導きくださいますようよろしくお願い申し上げます。

 さて祖師先徳鑽仰大法会は、昨年3月16日に第一期・第二期の集大成としての総結願法要を奉修し、お陰様をもちまして無魔円成いたしました。法要では、11年に及ぶ長期間の大法会事業に携わってこられた宗内外の諸大徳の多くの皆様の随喜をいただき、午前中には根本中堂にて大樹孝啓天台座主猊下の大導師のもと全国宗務所長のご出仕による総結願奉告四箇法要、午後からは東塔、西塔、横川の比叡山三塔全山で同時刻に法華経読誦法要を奉修いたしました。祖師先徳への報恩感謝と期間の円成を御宝前に奉告し、み教えを未来に継承することをお誓い申し上げました。なお、大法会の記念事業であります総本堂根本中堂の保存修理事業は今年で9年目に入り、いよいよ工事も終盤にかかってまいりました。令和9年度の落慶に向け引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 コロナ禍を経て、ようやく日常生活を取り戻し宗内外での各諸行事も通常開催が可能となり、昨年は海外での行事に参加させていただく機会に恵まれました。ハワイ別院においては、世界に法華一乗の精神を敷衍する目的で昭和48年に戦後再び開教の灯が灯されてから50年の節目を迎えました。11月には「開創50周年記念慶讃法要」と「田中祥順師の第三代住職晋山式」の慶事が挙行されました。現地の皆様の期待感を肌で感じ、天台の法灯が益々敷衍されることを願ってやみません。また、ドイツ・ベルリンで9月に開催されました聖エジディオ共同体主催「世界宗教者平和の祈り」では、世界の宗教者らと祈りを捧げ、対話を通して親交を深めました。イタリアやドイツの要人らと会見し、宗祖伝教大師様の「忘己利他」「一隅を照らす」のみ教えに賛同を得たことは、平和へ歩を進めることが出来たのではと存じます。気候変動による影響、また今なお各地で続けられる戦争や紛争などの、社会に満ちあふれた閉塞感や諸問題解決へ、比叡山宗教サミット「世界平和祈りの集い」を通して、皆様と共々に伝教大師様の御誓願であります浄仏国土建設に邁進いたしたく存じます。

 伝教大師様のみ教えの一灯を掲げ、今年も弛まぬ努力を続けることをお誓い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。

令和6年正月
天台宗宗務総長 阿部昌宏

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