天台宗について

The TENDAI Journal~天台ジャーナル~

天台ジャーナル 第245号

比叡山宗教サミット36周年
「世界平和祈りの集い」8月4日に開催

諸宗教代表者らが平和を希求

 宗教・宗派の垣根を越えて対話と祈りを通じて世界平和に献身する比叡山宗教サミット36周年「世界平和祈りの集い」が8月4日13時より、比叡山で開催される。全国から約5百人の宗教者が出席する予定。

 「平和への道−未来へ向けて−」と題して6団体の宗教代表者より平和への決意表明が行われ、これまでの歩みを振り返り、平和に向けた取り組みが発表される。

 比叡山宗教サミット「世界平和祈りの集い」は、昭和62年(1987)に開催されて以来、毎年宗教宗派を超えた宗教者が比叡山に集い、世界の恒久平和実現のために協働することを確認し、共に世界平和を希求する祈りを捧げてきた。

 昨年は節目となる35周年を迎え、山上山下で記念講演や式典を挙行。「気候変動と宗教者の責務」をテーマに宗教者が果たすべき役割について語り合い、その成果を「比叡山メッセージ2022」として世界に発信した。

 この比叡山宗教サミットの「祈りの精神」を次世代に継承する取り組みとして、今年は第1回の祈りの集いで実施されたプログラムを用意。

 教派神道、仏教、キリスト教、神道、新宗教、イスラームの6団体の代表者がそれぞれの教義や立場で平和への決意表明を行う。

 また、これまで全ての式典は屋外で開いてきたが、本年から屋内外2会場に亘って催す。

 まず延暦寺会館で開会式や6団体による祈りと決意表明、海外メッセージ披露、ユニセフへの寄託式。続いて屋外へ移動し、世界宗教者平和の祈り記念碑前にて、比叡山メッセージ朗読、平和の鐘、平和の祈り(黙祷)、主催者代表挨拶などを行う。

 式典終了後は、大津市内のホテルで交歓レセプションが開かれる。

 なお式典の模様は天台宗公式ホームページ上にて中継し全世界に向けて配信される。

プログラムの詳細は左記の通り。

令和5年8月4日㈮13:00開式

平和の式典(屋内)
 13:00 開式
 13:10 平和への道−未来へ向けて−
 14:00 海外メッセージ披露
 14:15 ユニセフ支援金寄託式

平和の祈り(屋外)
 15:20 比叡山メッセージ朗読
 15:30 平和の鐘・平和の祈り
 閉式

素晴らしき言葉たち -Wonderful Words-

遠くて近きもの 極楽。舟の道。人の中。

     

清少納言『枕草子』

 これは『枕草子』の中で「春は あけぼの」や「星は すばる」と並んで有名な「もの尽くし」の段に出てくる言葉たちです。

 極楽は、あたりまえのことですが、誰も行ったことのないところです。たとえば、現世での苦しみ悲しみから逃れるため、ひたすら念仏を唱え、極楽往生を願う衆生にとっては、極楽は遠いところではないでしょう。

 しかし誰にとっても同じ近さ、遠さではありません。享楽の生を思う存分楽しんでいる人にとっては、また、思い悩むことがなく順風満帆の人生を送っていると思う人には、いうなれば今現在が極楽かも知れませんね。

 他方、思い通りにいかない歩みの人生、失意と後悔のみの日々を送る人にとっては、極楽とは正反対の地獄の世で、極楽は遠い彼方でしょう。

 「舟の道」は分かり易いですね。陸路に比べいろいろ小回りがきかないですが、順調に進めば遠路も随分と早く目的地にたどり着けます。

 最後の「人の中」は、ここでは男女の仲のことですが、一般的な人の仲でもいろんな関係がありますね。

 日頃はめったに会えない人でも、会えばたちまち親密な間柄になる人もいれば、毎日のように接していても、ごく浅い関係のままの人もいます。

 端から見ても、人と人との関係の遠い近いは分かりません。長く続いている関係もあっという間に崩れてしまうこともあります。

 考えてみますと「舟の道」以外の二つは人の心のありようですね。人の世は煩悩の世界であり、喜怒哀楽が淀みのうたかたのごとく湧いては消えている世界です。

 そうであるなら「遠くて近きもの」は「近くて遠きもの」にたちまちに変わっていくものといえましょう。

鬼手仏心

チャットGPT

 世界中で利用者が急増する生成AI「チャットGPT」。人間のように自然な会話ができ、その質の高さと無料ゆえに、企業はもちろん行政や教育現場でも取り入れられるようになりました。

 試しに、「一隅を照らすを実践するにはどうすればいいですか?」と尋ねてみると、「自己啓発を追求する」「積極的に貢献する」「良い行動のモデルとなる」「小さなことにも意識を向ける」「自分自身を信じる」という小見出しと、その項目ごとに説明を加えた550字ほどの具体的な答えが返ってきました。

 その内容たるや痒いところに手が届くほど懇切丁寧で、私が思いつかないようなことまでも書いてあって、すっかり納得させられました。

 これまで私は書物やインターネットで調べたりして、四苦八苦しつつ文書を作ってきました。しかし、こんなに適切な文章をあっという間に作ってくれるのなら、いっそのこと丸投げしてしまいたい気持ちです。

 人に知られたくないような悩みなども、チャットGPTになら気兼ねなく打ち明けることができ、的確なアドバイスをしてくれるそうです。

 この会話ロボットはインターネット上などの膨大なデータを解析して、人が書いたような文章を作る技術なので、データが乏しい場合は適切な答えが出せません。

 それにしても、まぁ、実によく物を知っているものです。このような技術は使えば使うほど磨き込まれていくでしょう。

 それに反して、私どもがAIに頼り切りになれば、頭はどんどん退化の一途をたどるでしょう。

 老化と退化の危険にさらされた私の頭。どう対処したらいいか、チャットGPTに尋ねてみようかな。

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