伝教大師のご遺戒を体し ー延暦寺年賀式ー
令和5年延暦寺年賀式が1月8日、延暦寺会館で行われ宗内諸大徳や政財界から280名余りが出席。数え年で100歳を迎えられた大樹孝啓天台座主猊下にご挨拶を行い新年の門出を祝った。
また比叡山から発信する今年の言葉「開発真心(かいほつしんしん)」が発表された。

大樹座主猊下は〝お言葉”で、まずは昨年の傳燈相承式を振り返られ「座主としての務めを果たすことを宗祖大師にお誓い申し上げました」と述べられた。
そして盛会裡に幕を閉じた特別展「最澄と天台宗のすべて」や比叡山宗教サミット35周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」など山上山下での諸行事への感想を語られた。
また国内外で頻発する自然災害の多発や、戦争やテロ行為、コロナ禍について憂慮を示された上で「大きな気候変動とコロナ蔓延の最中に迎えた伝教大師一千二百年大遠忌ではありましたが、むしろ我々一人ひとりが為すべき事をじっくりと考える時間を与えてくださったようにも思います。
最澄さまの『努(つと)めよ努(つと)めよ』とのご遺戒を体し、地球上のあらゆる命が生き生きと幸せに暮らせるよう共に祈りを捧げてまいりましょう」と、会場に呼び掛けられた。
続いて阿部昌宏天台宗宗務総長、比叡山法灯護持会会長の鳥井信吾サントリーホールディングス株式会社副会長、加藤好文京阪ホールディングス株式会社会長、三日月大造滋賀県知事、馬渕直樹日吉大社宮司、全国国宝重要文化財所有者連盟理事長の落合偉洲久能山東照宮名誉宮司らが登壇して挨拶した。
阿部宗務総長は「祖師先徳鑽仰大法会の集大成として3月16日に結願法要を予定している。各祖師方の御遺徳を改めて偲ぶ機会とし、宗祖伝教大師のみ教えを未来につないでいきたい」と述べた。
さらに世相にも触れ「社会に満ち溢れた閉塞感や人心の闇を照らすには神仏の力をおいて他にはない。宗祖伝教大師の御誓願である法華一乗の社会、すなわち浄仏国土の実現に向け邁進してまいりたい」と決意を披露した。
お互いの仏性を開き発(お)こそう
新春恒例の「比叡山から発信する言葉」には、水尾延暦寺執行から『開発真心(かいほつしんしん)~真の心を開き発こす~』が発表された。
「真心「まごころ」とは、嘘偽りの無い心。それは私たちの「真実の心」に他なりません。真心を込めれば必ず相手にも通じます。相手にも通ずるこころ、それは皆に具わっている「仏性」ほとけごころです。お互いの仏性を、開き発こして、目覚めさせましょう」と紹介している。