比叡山宗教サミット35周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」―環境負担の軽減・削減に努力を誓う―
比叡山宗教サミット35周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」(主催・同実行委員会)が8月4日、国立京都国際会館並びに比叡山延暦寺を会場に開催され、「気候変動と宗教者の責務」の大会テーマのもと、宗教者らのべ約800人が参加した。午後からの比叡山上での「世界平和祈りの式典」は、天候急変により予定を繰り上げて終了したが、気候変動への宗教者が果たすべき役割について語り合い、『比叡山メッセージ2022』を世界に向けて発信した。

国立京都国際会館では、午前10時から「開会式」を開始。実行委員会委員長の阿部昌宏天台宗宗務総長が開会挨拶に立ち「記念講演やシンポジウムから提言を賜ると同時に、解決方法を模索する機会にしたい。そして私たち宗教者が率先して実践し、この成果を世界に発信して参りたい」と、今サミットの意義を強調。ローマ教皇フランシスコ聖下からも、趣旨に賛同する期待を込めたメッセージが寄せられた。
続いて、多摩大学学長の寺島実郎日本総合研究所会長が「歴史的大転換期における宗教―心の回復力(レジリエンス)を求めて―」と題し記念講演。また薗田稔秩父神社宮司、竹村牧男東洋大名誉教授、フィジーのジェームズ・バグワン太平洋教会協議会事務総長、デスモンド・カーヒルアジア宗教者平和会議実務議長ら4名をパネリストに迎え、テーマにそったシンポジウムがあり、真摯な議論が交わされた。
午後からは、比叡山延暦寺一隅会館前広場に会場を移し、「世界平和祈りの式典」を挙行。次代を担う若手宗教者6名による初回に発表された『比叡山メッセージ』の朗読に続き、のべ約500人の宗教者らが、平和の鐘の鐘打に合わせて平和を祈り黙祷を捧げた。
主催者を代表し挨拶された名誉顧問の大樹孝啓天台座主猊下は「環境問題は現代文明の当然の帰結とも言われ、危機的気候変動にみられるごとく、その影響は地球に存在するすべての生き物に及ぶこととなる。この厳しい現実を前にして、私たち宗教者は気候変動に苦しむ人々に寄り添ってその支えとなり、問題解決のためには信徒等と協働して積極的に対処することが求められている。宗教活動や生活のあらゆる分野で環境負荷の軽減・削減に積極的に努力し、併せて神仏の大いなるご冥助(みょうじょ)を切に祈ってまいりたい」と述べられた。
この挨拶途中に天候が急変。激しい雷雨の中にも関わらず力強い口調で語りかけられた大樹名誉顧問に会場から拍手が送られた。この後に予定されていた各宗教別の祈りなどのプログラムは行うことができず、最後に阿部実行委員会委員長の呼びかけで再度黙祷による祈りを捧げ予定を繰り上げての閉会となった。
なお『比叡山メッセージ2022』は、天台宗公式ホームページなどで公表、関係者らに文書を郵送し発表に代えた。
https://www.tendai.or.jp/summit/index.html