【修復終えた勅額を奉納】東京教区伝教大師一千二百年大遠忌法要
天台宗東京教区(林觀照宗務所長)は6月7日、伝教大師一千二百年大遠忌東京教区法要を比叡山延暦寺根本中堂で奉修した。修復を終えた勅額が奉納され、法要では大遠忌記念として教区で新たに作成した傳教大師本懐讃を奉読し、報恩感謝を捧げた。

導師による表白の奏上後、出仕並びに随喜者で山家学生式を唱和。続いて傳教大師本懐讃が唱えられ、御遺徳を讃えた。
阿部宗務総長は「伝教大師の志、御教えをこれからも変わることなく後世に伝えていく。その証として教区ご寺院の皆さま方が宗徒を代表して勅額修復を行っていただいた」と感謝し、水尾延暦寺執行も「この法要が宗内全体に大きな功徳を巡らせて下さるよう祈念申し上げる」と話した。
――2つの記念事業
傳教大師本懐讃は、大遠忌記念事業として同教区が令和元年から取り掛かり完成させた。伝教大師の人生を尋ねながら、事績や記録を知ることができる。
林宗務所長は挨拶の中で編集に携わった木内堯大大正大学特任准教授の話を引用し「伝教大師のご遺徳が辿れること、史実と異なる伝承を省いたもの、誰にでもわかる新しいものを、できる限り既存の資料を崩さずに作成したい。現在の段階で史実と見なされる説だけを用いる。そして伝教大師の素晴らしいお言葉を実際に口にだして読んで貰う機会を作りたい」と内容や刊行に至った経緯を披露。「伝教大師のお心を立体的に復元化できたと自負している。布教などで大いに活用いただければ」と願いを語った。
また、根本中堂に掲げられていた勅額「傳教」も修復を終え今法要で奉納された。
同額は、開創一千百五十年を迎えた昭和12年に昭和天皇から下賜され、同15年5月4日から3日間に亘り勅額拝戴慶讃法要が営まれた。当時、宗務総長を2度務めた青木道晃師らが伝教大師奉讃会を結成、その記念事業として下賜されたもので、同教区との縁も深いことから教区内全御寺院の賛同を得て修復を進めていた。
林宗務所長は「根本中堂の改修なった暁には、その中央高くに掲げられ、不滅の法燈とともに永劫に光り輝き、ひいては本懐讃が人びとの心に宗祖大師の御心を敷衍する、よすがとなることを期待する」と感無量の様子で挨拶した。