「忘己利他」の実践を
大樹天台座主猊下より垂示 ――延暦寺年頭式
令和4年延暦寺年頭式が1月8日、延暦寺会館で催された。宗内諸大徳、政財界などから約2百名が出席し、昨年11月22日にご上任された大樹孝啓天台座主猊下に新年のご挨拶を行った。また比叡山から発信する今年の言葉『大悲万行(だいひまんぎょう)』が発表された。

大樹座主猊下は、〝お言葉”で、依然猛威を振るう新型コロナウイルスにより犠牲となられた方々を悼まれ、医療従事者に感謝を述べられた。
そして「浄仏国土を目指された伝教大師は、菩薩僧の育成に心血を注がれた。その菩薩を作るには、『布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧』の六行が必要です」と教示。それぞれが「忘己利他」を実践することで、互いを尊重しあう社会が生まれるとし、「人間界だけに限らず自然界を慈しみ共生することで、環境問題も解決の道が開けます」と、一日も早い世界平和の訪れを望まれた。
続いて阿部昌宏天台宗宗務総長が挨拶し「祖師先徳鑽仰大法会の最終年となる。昨年に続いて九州、京都の国立博物館で開催される特別展『最澄と天台宗のすべて』をご覧いただき、総本山比叡山延暦寺への参拝を通じて、お祖師様の御精神に一人でも多く触れて頂きたい。また今年は比叡山宗教サミット35周年『世界宗教者平和の祈りの集い』を迎える。平和と安寧を享受できる社会を願われたお大師様の誓願を日本仏教の母山比叡山より世界に発信して参りましょう」と話した。
また四天王寺管長の加藤公俊猊下、比叡山法灯護持会会長の鳥井信吾サントリーホールディングス株式会社副会長、三日月大造滋賀県知事が、それぞれ挨拶を述べられた。
――利他の行いを
毎年発表している「比叡山から発信する言葉」として「大悲万行~すべての行いは大悲から~」が水尾執行から紹介された。
「大悲とは、仏さまが常に人々を見守り、苦しみを取り除き安心を与えて下さる御心のこと。私たちにも具わる仏心に目覚め、利他の行いに努めましょう」と呼び掛けている。