第二五八世天台座主に大樹探題がご上任
――新師表を迎え宗内一丸で
森川宏映第二百五十七世天台座主猊下のご遷化に伴い、11月22日、大樹孝啓探題大僧正(兵庫教区書寫山圓教寺住職)が第二百五十八世天台座主に上任された。大樹新座主は大正13年6月23日生まれの97歳。平成28年からは一隅を照らす運動会長に就任され「在家の菩薩を一人でも多く増やしていきたい」と、先頭に立って衆生教化に勤しまれてきた。

平成8年から12年まで天台宗審理局局長。同11年に戸津説法を勤仕され、同22年に探題補任。同27年から次席探題となられ、森川座主猊下を補佐されてきた。
祖師先徳鑽仰大法会を記念し全国各教区で営まれた特別授戒会では、各地で伝戒和上をお勤めされてきた。いつも優しいお言葉で、伝教大師の「忘己利他」「一隅を照らす」の教えを説かれ、多くの檀信徒らと仏縁を結ばれている。
一隅を照らす運動会長に就任されたときに、こう述べられている。
「最澄様は浄仏国土を目指された。そのためには在家の菩薩を一人でも二人でも増やさなければなりません。菩薩を作るためには『布施 持戒 忍辱 精進 禅定 智慧』の“六行の実践”が必要です」と。
また多発する自然災害にも「地球の怒りは神仏の御忠告と受け止めるべきだ」と述べられ、自然へ感謝を示し、日々の暮らしには菩薩の心をもって過ごす大切さを説かれていた。
今年6月5日に奉修された伝教大師一千二百年大遠忌御祥当後法要(胎蔵界曼荼羅供)で大阿闍梨を勤められ、宗祖伝教大師のご宝前に報恩謝徳の誠を捧げられた。
祖師先徳鑽仰大法会も1年延期され、来年は九州と京都の各国立博物館で特別展が開催される。また根本中堂大改修工事も進捗している。新たな師表を迎えた天台宗は、大樹新天台座主猊下を中心に更に歩を進めていく。
――伝教大師のみ心を体し
滋賀院門跡で11月22日、午後3時から上任式が営まれた。
天台宗と延暦寺の両内局が見守る中、阿部昌宏天台宗宗務総長から梶井袈裟が贈呈された。
大樹新座主猊下は「伝教大師のみ心に応えられるよう努力してまいります」と就任への決意を述べられた。