特別展「最澄と天台宗のすべて」東京国立博物館ではじまる
――秘仏など名宝揃う貴重な期間
宗祖伝教大師一千二百年大遠忌を記念した特別展「最澄と天台宗のすべて」が東京国立博物館平成館で10月12日から始まった。秘仏をはじめとしたゆかりの名宝が出展されており、開宗から江戸時代までの天台宗の歴史を知る貴重な機会となる。

各会場ともに地域性にも重点を置いた特色ある展示で観覧者を迎える。東京会場では、比叡山延暦寺における日本天台宗の開宗から江戸時代までを6章立てで構成。最後の展示室では、中央に根本中堂内部を一部再現し、時計回りにめぐると全国の天台宗の特色ある仏像を観ることができる。
展示を担当した皿井舞平常展調整室室長の話では、伝教大師自刻の伝承をもつなどのゆかりの尊像を選んだという。
中でも、三岐教区願興寺(蟹薬師)の薬師如来坐像は、伝教大師が東国巡化の際に自刻された伝承が遺されている。
また京都・法界寺の薬師如来立像は、自刻された根本中堂御本尊の薬師如来像に最も近い姿をしていると言われる秘仏で、今回特別に出展された。その他、日本最大の肖像彫刻である深大寺の慈恵大師像は205年ぶりの出開帳であり、眞正極楽寺の現存最古の阿弥陀如来立像は寺外初公開される。また、現存する伝教大師自筆の手紙、国宝の尺牘(せきとく)、インド、中国、日本の天台ゆかりの人物たちを描いた国宝の平安絵画十幅の展示もある。
音声ガイドのナビゲーターは歌舞伎俳優の市川猿之助さんが務めている。
開会前日の10月11日には関係者向けの内覧会があり、天台宗の阿部昌宏宗務総長、甘井亮淳法人部長、延暦寺の水尾寂芳執行、小森文道副執行、今出川行戒副執行らが出席。また東京教区の林觀照宗務所長はじめ教区内住職らが参加し、期間の無事を祈る法楽が営まれた。
なお、混雑緩和のため「事前予約制(日時指定券)」を導入しているが予約不要の「当日券」もある。詳細は東京国立博物館ホームページにある「展覧会公式サイトチケットページ」へ。