平安時代の古儀が今よみがえる
北野御霊会を再興
森川宏映天台座主猊下は9月4日、京都市上京区の北野天満宮(橘重十九宮司)において応仁の乱後に途絶え550年ぶりに復興された北野御霊会(きたのごりょうえ)に出座された。比叡山延暦寺一山僧侶による法華経を講説する「山門八講」が営まれ、森川座主猊下が神前に祭文を奉じ、世界の平安と新型コロナウイルスの早期収束を願い玉串を奉奠(ほうてん)された。

ただ中世以降も、50年に一度の式年大祭・萬燈祭で延暦寺から僧侶を迎えて法要を営んできた記録が文献等で残されており、交流は続いていたという。また、明治の神仏分離令まで同宮は曼殊院門跡が別当職を務めており、延暦寺とは深い縁で結ばれていた。
今回は、25年ごとに営まれる菅公一千百二十五年半萬燈祭を7年後に控え、新型コロナウイルス感染症や天災の脅威にさらされている現状への憂慮から、神仏習合で世界の平安を祈願すべく、実に550年ぶりに復興させた。
法要は午前10時から始まり、七条袈裟を纏(まと)った延暦寺僧侶らが本殿まで向かい、曼殊院門跡の藤光賢門主と橘宮司ら神職が三光門で出迎え、合流してから共に参進した。
八講壇が設けられた本殿では、橘宮司の祝詞奏上に続いて、森川座主猊下が祭文を奉じられ、玉串を奉奠された。
そして8名の僧侶らが講経論議を祭神に奉納した。
法要後、橘宮司は「明治以降途絶えていた神仏習合の祈りの復興は私の人生で最高の感動だった」と述べた。
また水尾寂芳延暦寺執行は「明治以来の神仏習合の祈りが復興できたことは北野天満宮様の熱い思いがあってこそ。ご縁を賜り有り難く勤めさせていただいた。今後も続けていければありがたい」と話した。