戦後75年迎え「不滅の法灯」捧げて慰霊
-戦歿者に世界平和誓う-
広島市の平和記念公園にある原爆供養塔前で7月14日、一隅を照らす運動「第16回戦歿者慰霊・世界平和の祈り『天台宗平和祈念法要』」が営まれた。今年は戦後75年の節目から、比叡山延暦寺根本中堂の「不滅の法灯」から分けられた灯が供えられ、戦歿者らに世界の恒久平和を誓った。

例年は三教区の住職有志らの出仕で営んできたが、今年は新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため規模を縮小して実施した。
法要は、岡山教区の永宗幸信宗務所長を導師に、村上行英同教区副所長、延暦寺副執行の小寺照依教化部長、九州西教区から髙倉聖法種因寺住職、安東定悦雙林院住職らが出仕。法要の趣旨に賛同する、歌手で比叡山延暦寺親善大使の森友嵐士さんも参列した。不滅の法灯から分けられた灯と福岡県英彦山(ひこさん)の水が供えられ、広島県出身である森友さんが『宗歌』など2曲を献歌した。
また7月に発生した豪雨被害の犠牲者並びに被災地の早期復興と新型コロナウイルス感染症の収束も併せて祈願した。
-法灯が沖縄と長崎にも-
中国・四国・九州にある各教区の中で趣旨に賛同した有志らが、今年が戦後75年を迎えたことから、太平洋戦争の激戦地となった沖縄県、被爆地の広島、長崎の両県で「終戦七十五年・比叡山不滅の法灯平和行脚」を企画。比叡山延暦寺根本中堂の「不滅の法灯」から分灯された灯を宝前に供え、全戦歿者を慰霊し、多くの人びとと共に世界平和を願う祈りを捧げようとしていた。しかし新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、有志のみの少人数で慰霊法要を営むことに、やむなく変更した。
沖縄県では、延暦寺の僧侶や宗内の住職、檀信徒ら有志が平成14年から「沖縄戦争殉難者慰霊行脚」を毎年続け、県内各所で慰霊法要を営んでいる関係から実施された。4月に髙倉種因寺住職ら数名が「不滅の法灯」を掲げて海を渡り、糸満市の平和祈念公園や首里城などを行脚した。
続いて5月14日には、長崎県佐世保市の祇園寺(山下隆源住職)で嘉瀬慶文九州西教区宗務所長の導師で法要を営み、広島での法要に報恩を繋げた。