新型コロナウイルス感染拡大に関する声明 「心を合わせて力を一つに」
杜多道雄天台宗宗務総長は4月17日付けで、「新型コロナウイルスの感染拡大に関する声明」を発表した。「『忘己利他』『一隅を照らす』を旗印に、心を合わせて力を一つにして邁進しましょう」と呼びかけている。
声明文は、「天台宗務庁における新型コロナウイルス感染症への対応について(職員の勤務形態変更について)」、「比叡山延暦寺法会等諸行事変更状況一覧」と共に17日に全国の宗内寺院へ送付。同時に天台宗公式ホームページに掲載した。

声明文は、「天台宗務庁における新型コロナウイルス感染症への対応について(職員の勤務形態変更について)」、「比叡山延暦寺法会等諸行事変更状況一覧」と共に17日に全国の宗内寺院へ送付。同時に天台宗公式ホームページに掲載した。
声明では、「今重要なのは利他の精神ではないでしょうか」とし、利他を実践する菩薩僧の養成に心血を注がれた伝教大師の御心を汲み、「国民一人ひとりが菩薩僧としての自覚を育み、出家の菩薩と在家の菩薩がそれぞれに手を取り合い、僧俗一貫となって世の中をよくしていこうと努力することが大切」と説明。平和で安心し心豊かに暮らせる社会を目指すには、「仏国土」建設を目指された伝教大師の『忘己利他』の実践が大切だと強調した。
そして、「今こそ、願わくは、一人だけ解脱するのではなく、一人だけ安楽な結果を得るのではなく、生きとし生けるすべてのものとともに、仏の悟りを得て、仏の悟りの素晴らしさを味わいたい」との伝教大師の御誓願を体し、「『忘己利他』、『一隅を照らす』の旗印のもと、すべての人々が助け合い支え合ってよりよく生きることのできる社会が一日も早く到来するよう、心を合わせて力を一つに邁進してまいりましょう」と呼びかけている。
また、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々と遺族へ哀悼の意を表し、罹患者へのお見舞い、対峙する医療従事者などにも敬意を表し、「個人でも、地域でも、国家でも連帯して未曾有のコロナ禍に立ち向かっていかねばならない」との決意を示した。
刻々と変化する状況に鑑み、杜多内局は対応策を検討してきた。今回の声明も、4月15日に庁内で協議の上、出すことを決めた。
天台宗では、新型コロナウイルス感染症の国内での発生状況を踏まえ、健康と安全の確保、感染拡大防止という観点から3月30日付けで、「緊急のお願い」とする文書を、4月3日付けで「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた行事開催の基本方針」を宗内全寺院へ送付していた。
―宗務庁は交代勤務で対応―
なお宗務庁は、4月20日(月)~5月29日(金)までは職員を2班に分けた交代勤務で対応する。(4月27日(月)~5月8日(金)は閉庁)
比叡山延暦寺では4月20日から当面の間、全山拝観を停止。延暦寺会館、国宝殿、叡山文庫も閉館する。主な行事では、長講会(但し一山住職による法会を勤める)、本山得度、戸津説法は中止とした。
各教区宗務所では、4月7日に政府から発出された緊急事態宣言を受け、対象都府県の北総教区宗務所は5月31日まで臨時閉所、南総教区宗務所は5月31日までは月・水・金の13時~16時のみ開所。神奈川教区宗務所は5月8日のみ開所する。東京教区宗務所は、5月6日まで緊急閉鎖としている。埼玉教区宗務所は、5月10日まで臨時閉所にする。また岡山教区宗務所は独自にコロナ対策本部を立ち上げ対応に当たっている。(4月24日現在)