天皇陛下の退位、皇太子殿下の即位近づく
森川座主猊下「大御心は無窮」と
去る2月19日に招集された第144回天台宗宗議会において、森川宏映天台座主猊下は天皇陛下の退位と皇太子殿下の即位について「歴代天皇陛下の伝えられてきた皇統の弥栄(いやさか)を寿(ことほ)ぎ奉り、国家の繁栄、世界の安寧を祈念申し上げ、新しき時代をともどもに奉祝いたしたい」と「お言葉」を述べられた。

杜多道雄宗務総長は、同宗議会で「天台宗では、御即位を内外に示す『即位礼正殿の儀』が行われる今秋に天皇陛下即位奉祝行事を行う」と明らかにした。また総本山延暦寺では、4月28日から5月1日まで天皇陛下御即位奉祝臨時御修法を奉修する。
森川座主猊下は、昨年末に85歳の誕生日を迎えられた天皇陛下が記者会見で述べられた
「先の大戦で多くの人命が失われ、また、我が国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」とのお言葉を引用し、
「私事ですが、先の大戦の時に青春時代を過ごし、大正、昭和、平成という歴史の激動期を生きた者」には「誠にありがたく、同時に感無量なるものがある」と平和の尊さを訴えられた。
「お答え」に立った中村彰恵宗議会議長は、陛下が、
「世界各地で民族紛争や宗教による対立が発生し、また、テロにより多くの犠牲者が生まれ、さらには、多数の難民が苦難の日々を送っていることに、心が痛みます」と述べられたことに触れて、
「私どもの進めております比叡山宗教サミットによる宗教対話の重要性を痛感いたします」と更に宗教対話を進める天台宗の姿勢を鮮明にした。
森川座主猊下は、
「常に自然災害の脅威にさらされている我が国について思いをいたすとき、天皇皇后両陛下が被災地におもむかれ、膝を折って、被災者の手をとられるお姿が被災者の方々はもちろん、国民にとってどれほど心強く、励みになることでしょうか。『国やすかれ 民やすかれ』という大御心は御代替りによっても無窮でありましょう。歴代天皇陛下の伝えられてきた皇統の弥栄を寿ぎ奉り、国家の繁栄、世界の安寧を祈念申し上げ、新しき時代をともどもに奉祝いたしたい」と述べられた。