熊本地震犠牲者の慰霊と復興を祈願
被災地、阿蘇市 西巖殿寺で「熊本地震一周忌追悼法要」を営む
今後も、被災地の現状にあった支援が必要に
昨年4月14、15日に、熊本県熊本地方を震央とする「熊本地震」が発生、熊本、大分の天台宗各寺院や檀信徒にも大きな被害をもたらした。あれから1年。天台宗では、去る4月19日、九州西教区、比叡山延暦寺とともに「熊本地震一周忌追悼法要」を被災地、九州西教区・西巖殿寺において営んだ。法要では、犠牲者の慰霊とともに、被災者が、一日も早く元の生活に戻れるように「復興祈願法要」も併せ行った。被災現地では、まだまだ地震被災の影響が色濃く残っており、天台宗としてもできうる限りの復興支援を行っていく方針である。

同法要には被災寺院住職、檀信徒をはじめ、小堀光實天台宗災害対策本部副本部長(延暦寺執行)、阿部昌宏同災害対策本部事務局長(天台宗総務部長)、甘井亮淳天台宗財務部長、藤光俊天台宗宗議会議員ら宗内僧侶も多数参列した。
熊本地震は、マグニチュード6・5以上の内陸型地震(活断層型)としては、明治18年の観測開始より初めてとなる大地震。熊本・大分両県の住宅被害は約20万棟で、災害関連死を含め、犠牲者は225名を数えている。また、応急仮設住宅に暮らす世帯は、今年3月末で、4千世帯を超えており、自治体が民間賃貸住宅を借り上げる「見なし住宅」にも約1万5千世帯が住む。さらに地元の水産業や観光業へも甚大な被害を与えた。また熊本城をはじめ300件を超える文化財に被害を及ぼすなど、地震による被害総額は最大4・6兆円に上るものと推定されている。
天台宗でも九州西教区、同東教区で30を超える寺院で被害が出た。法要が執り行われた西巖殿寺も地震発生時には本堂、庫裏が落下物などで散乱し、停電・断水・崖崩れによる交通遮断などの被害があったが、全国からの支援を受ける拠点として活動を続けてきている。
法要では、導師をつとめた嘉瀬九州西教区宗務所長が「本日、地震の犠牲になられた方の一周忌法要を営まさせていただきました。西巖殿寺の鷲岡住職さんの地震後の支援活動には誠に敬意を表します。我々は一日も早い復興を目指し、今後とも力を注いでいく決意です」と挨拶。
小堀同対策副本部長も地震当時を振り返りながら、犠牲者の追悼とともに、被災者支援の決意を誓う挨拶を行った。阿部同事務局長は「一宗としても、今後ともできうる限りの支援を継続していく所存です」と支援継続を約束、地元被災地の阿蘇市並びに南阿蘇村に支援寄託金を贈呈した。
熊本の被災地復興は、未だ途上にある。鉄道も道路も不通のところが依然として残っており、主要交通ルートも回復していない状況である。倒壊家屋の解体撤去も思うように進んでおらず、まだまだ時間がかかる様相だ。
被災地熊本に対しては、今後とも粘り強い支援が必要となっている。