平成28年熊本地震
熊本県・大分県で寺院被害相次ぐ
対策本部を設置し救援物資を配送
4月14日に発生した「平成28年熊本地震」で、天台宗は、4月17日、木ノ下寂俊宗務総長を本部長とする「平成28年熊本地震天台宗災害対策本部」を設置した。同対策本部活動のための予算措置についての臨時宗議会が4月27日に招集され、被災者救援のための臨時会計設置が承認された。また、同対策本部では、支援活動を一宗挙げて行うため、義援金募金のお願いを18日に全教区寺院に発送し協力を求めた。

震源地に近い延壽寺(藏原恒海住職・熊本市南区)では、山門が倒壊し、鐘楼堂に倒れかかっている。また、屋根瓦も多数落下している。
また、阿蘇市の西巖殿寺(鷲岡嶺照住職)では、14日の地震では目立った被害はなかったが、16日未明の地震により近辺で崖崩れが発生し、交通が遮断され、一時孤立した。
熊本市南区にある角本社会部長の自坊・長壽寺も大きな被害を受けた。熊本地震発生当時、角本部長は公務のため宗務庁(滋賀県大津市坂本)で勤務していたが、急遽帰院。断水と余震の揺れのひどさで、寺族ともども車両で寝起きしたという。被害の最も甚大であった益城町にある常樂寺(小㟢晃善住職)からは、参道に大規模の落石があり、寺に続く林道も土砂や落石で塞がれて寺に近づけない状態との報告が来ている。
九州西教区(甘井亮淳宗務所長)は、16日朝には寺院を拠点にして、水やパンなどを被災者に配布。また阪神淡路大震災を経験した兵庫教区仏青も18日に現地に到着。被災者に水や下着を配った。長壽寺では、九州西教区仏青の配布する薬やウェットティッシュなどが被災者に直接手渡された。対策本部も19日に水や食品を九州西教区宗務所に配送。20日には、対策本部から阿部昌宏天台宗総務部長ら担当者が同教区を訪れ、今後の支援方法を協議した。
今後は、ライフラインや物資の供給などが回復しつつある長壽寺より西巖殿寺に支援拠点を移し、全国からの支援物資を重点的に輸送、地区社会福祉協議会と連携しながら、地区避難所へ物資を支給する等を決めた。現段階(20日前後)では、支援活動体制も流動的であり、今後はその動向を見ながら支援活動を行うことになる。
20日に宗務庁に復帰した角本部長によれば、余震も多く、今も夜は車の中で過ごす人が多いという。
以上、被害状況などは、天台宗社会部調査による(4月20日現在)。
被害の状況は7面に掲載。