7年に亘る特別授戒会始まる
天台宗が平成24年4月から10年間にわたって奉修している祖師先徳鑽仰大法会の一環として、今年度から特別授戒会の奉修が始まった。毎年、4地区で1回ずつ、7年間勤められる。11月5日にはトップをきって岡山さくら祭典十日市ホールで、永宗幸信岡山教区宗務所長が奉行、村上行英副所長が戒行事となって、岡山教区の特別授戒会が執り行われた。岡山教区は、開宗千二百年慶讃大法会で「あなたの中の仏に会いに」のスローガンのもと展開された特別授戒でも平成15年に最初に授戒を執り行っている。同日は、来賓に葉上観行岡山教区宗議会議員、また木ノ下寂俊天台宗宗務総長も随行長として出席した。
今回の特別授戒会では、天台座主の名代としてお釈迦様からの戒を取り次ぐ伝戒和上を総本山延暦寺の森川宏映探題大僧正が勤め、361名が戒弟(仏弟子)となった。

宗祖伝教大師が中国天台山から授かった大乗の菩薩戒の法脈は、代々の天台座主猊下に受け継がれてきている。伝教大師はすべての人々がこの菩薩戒を授かって菩薩の道を歩むことが日本の安泰につながり、人々の幸せにつながると確信されていたのである。
天台宗が全教区に授戒を呼びかけるのは、開宗千二百年慶讃大法会に続いて2回目。
同日の特別授戒会では、最初に説戒師を勤めた水尾寂芳延暦寺副執行から授戒の要点や心得が説かれた。
水尾師は「授戒することで、それぞれの心にある仏性に光をあて、目覚めさせ、活動させることになる。仏性が動き出すことにより悪いことをつつしみ、良いことにつとめ、人のために尽くすという三つの菩薩の行動(三聚浄戒)に導く」と説明し「このお授戒によって、より良い社会(浄仏国土)のため、ともに菩薩の道を歩みましょう」と締めくくった。
このあと参加者(戒弟)全員は、正授戒に臨んだ。
森川伝戒和上は戒弟に向かい、伝教大師が中国で授かった十二門戒儀(開導資糧(かいどうしりょう)・懺悔諸罪(さんげしょざい)・発菩提心(ほつぼだいしん)・三帰三(さんきさん)竟(きょう)・請師乞戒(しょうしこっかい)・略問遮難(りゃくもんしゃなん)・正戒発得(しょうかいほっとく)・証明戒儀(しょうみょうかいぎ)・現相(げんそう)因縁(いんねん)・説示戒相(せつじかいそう)・広願修証(こうがんしゅしょう)・勧持浄戒(かんじじょうかい))を一つひとつ開き、順序立てて説示した。
請師乞戒では、お釈迦様、文殊菩薩様、弥勒菩薩様、諸仏、諸菩薩を会場に迎え、伝戒和上を通して直々に戒を授かることを乞い願った。その後、戒弟全員に伝戒和上から「おかみそり」、羯磨(かつま)師の山本亮裕岡山教区高福寺名誉住職から戒体(仏舎利)が授けられた。(写真)
そして正戒発得において、現代の菩薩としてこの戒を心身に保ち、日常生活に尽くすことを約束するかどうかの誓いの確認が伝戒和上から三度繰り返しなされ、その都度戒弟たちは合掌して「能く持(たも)つ」と唱和した。