天台宗について

法話集

No.112「なくてはならない人になれ」

  何故天台宗といわれるのか、由来的に申し上げますと、中国の天台山は華頂(かちょう)峰(ほう)、仏(ぶつ)朧(ろう)峰(ほう)、唐渓(とうけい)峰(ほう)の三つの峰からなっております。名前はそこから生まれております。
 中国に誕生した天台大師によって立教開宗された宗派でございます。
 それから四百年ほど後になってわが宗祖伝教大師がお出ましになり、天台大師の教えを受け継がれて、比叡山に日本天台宗を開宗されたのでございます。
 中国の天台宗と日本の天台宗とは同じ法華経による宗旨でありますが国民性の相違や時代と環境によって内容に多少の違いがあるといわれます。
 仏教の教えを大きく分けて考えますと「円(えん)密(みつ)、禅(ぜん)、戒(かい)、念仏(ねんぶつ)」と大別することが通説であります。それぞれの立場を尊重し認めた上で法華一乗の教えが最良最高の教えであると説くのが天台宗の教えであります。
 「一切衆生悉(いっさいしゅじょうしつ)有(う)仏性(ぶっしょう)」「山川(さんせん)草木(そうもく)皆仏(みなほとけ)」という天台宗の教えを学ぶことで「能(よ)く言い能く行うは国の宝なり」と教えを実践することが大切であると教えております。
 よく聞く言葉ですが「善因善果」「悪因苦果」と申しよい行いをすることを教えております。
 宗祖伝教大師は述べております。「忘(ぼう)己(こ)利他(りた)」己を忘れて他人の為になることを行うように日常生活に心掛けましょうと教えております。
 「一隅を照らす運動」の標語の中に「なくてはならない人になれ」とございます。口で言うことは簡単ですが、実行することは大変です。その気持ちを持って生きて行くことが大切でございます。
 どうか天台宗の教えを日常生活に実践されますことをお願い申し上げます。一人でも多くの人がこの教えの理念のもとに世の中、社会のために役に立つ人間になって下さい。

(文・本間孝康)
掲載日:2013年06月25日

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