高校生がタイへスタディーツアー
-現地状況を学び支援の重要性を実感-
一隅を照らす運動総本部
一隅を照らす運動総本部(荒樋勝善総本部長)のタイ・スタディーツアーが11月13日から18日にかけて開催され、天台宗関係学校の駒込高校と比叡山高校の生徒8名が参加した。
プラティープ財団が運営する施設で生活する子どもたちとの交流やスラム視察などを通じて、総本部が取り組む支援を高校生に伝えた。
孤児やスラムの子どもたちの救済を目的に活動するドゥアン・プラティープ財団(本部・バンコク)は、学資援助や麻薬中毒、近隣諸国の難民となった青少年の支援と更生自立を目指すプロジェクトなどを展開している。その活動に賛同した天台宗と一隅を照らす運動総本部が昭和63年に支援を開始した。スタディーツアーは、アジアの貧困地域の諸問題に直接触れる機会を設け、総本部の地球救援事業として取り組む活動への理解を深めてもらうことを目的に、平成28年から日本の青少年らを現地に派遣している。コロナ禍による中止を経て、昨年5年ぶりに交流事業を再開した。
今年度は、駒込、比叡山の両高等学校の1年生と2年生の8名が参加した。14日に現地到着後、バンコクにある本部を訪問。創設者のプラティープ・ウンソンタム・秦氏より創設に至った経緯や当時の状況などの説明を受けた。その後、総本部が奨学金を支援する8名から学修状況などの報告があり、日本の高校生らと交流。両国の楽器や歌などの音楽の話題で話が弾んだ。続いてタイ最大のクロントイスラムを訪問し、子どもたちの生活環境などについて理解を深めた。
過酷な環境を目の当たりにした高校生たちは、貧困が遠い国の話ではないことを感じながらスラムを後にした。 3日目は財団がタイ南部チュンポーンで運営する「生き直しの学校」へと移動。スラムに生まれ、ストリートチルドレンや家庭環境から親元を離れた7~19歳の青少年らが共同生活を送っており、高校生らも2日間、寝食を共にしながら交流を深めた。
高校生らは薬草石鹸やクラトン(灯籠)作り、ソンクラーン(水かけ祭り)を体験し、タイ文化に触れたお礼としてたこ焼きを振る舞った。そして日本から訪れていることを知り学校に集まった近隣住民らに「もみじ」を合唱し、日本文化を紹介。現地の子どもたちからもダンスが披露され、楽団の演奏で一緒に踊ったり灯籠を川に流すロイ・クラトンを体験し最後の夜を惜しんだ。
「皆さんと出会えたことが幸せ。離れるのはさみしいが、ここでの思い出は永遠に忘れない」など、高校生らはスラムでの苦労を感じさせず協力しながら生活している子どもたちの姿から現実を知った。
一隅を照らす運動総本部では、人材の育成を目的に今後も活動し、現地への支援をより充実させていきたいと考えている。

