世代や立場を超えた連携を
-国際的視野で日本文化を発信-
伝教大師最澄1200年魅力交流委員会第6回総会
伝教大師最澄1200年魅力交流委員会(鳥井信吾委員長・サントリーホールディングス株式会社代表取締役副会長)の第6回総会が5月8日、延暦寺会館で開かれた。

当初は大遠忌を迎える令和3年6月までを活動期間としていたが、コロナ禍で難航した活動の再起をはかるため、現在は第2期として令和9年度の根本中堂大改修完了を目途に活動を継続している。
宗内に留まらない
交流の拡充へ
総会では幹事の阿部昌宏天台宗宗務総長が、昨年11月に開催された役員会の要旨を報告し「第1期は事務局中心に活動し、全国寺院や僧侶の主体的な取り組みまでには至らなかった。今後は宗内でも積極的な参加を仰ぐ」と強調した。
天台宗は天台仏教青年連盟や各教区と協働して各地方の学生や経済界を巻き込み、活動の全国展開を予定。令和2年度にコロナ禍で休止した「不滅の法灯全国行脚」の再開なども視野に入れ、檀信徒にとどまらず学生や若い世代と宗の枠組みを超えた交流をはかる。
また延暦寺では、平成30年に台風被害を受けて以来閉鎖している居士林研修道場の再興とともに、一般に向けた修行体験の提供を検討している。体験型参拝「比叡探訪」を広く推進していく予定。
学生から歴史や
文化を発信
同委員会の特徴である「大学コラボプロジェクト」についても議論された。この企画は、各地の寺院を訪問した学生らがその魅力を発信する「お寺巡りプロジェクト」や、日本文化体験などを中心に、これまで延べ2000名以上の学生が参画している。総会には学生3名が出席し、「歴史を繋いできた人がいるからこそ今があると実感した」などと感想を語った。
今年度は全国の大学との連携や、参加学生へ社会貢献活動として参加証明を発行することなども検討中。また学生の発信の場であるウェブサイト『巡り』について、閲覧数向上を目的とした告知の活性化や多言語化、御守などの販売ページの追加が議論され、より包括的なサイトとして整備を進めていく。第2回文化体験では、同委員会委員の武者小路千家家元後嗣・千宗屋氏を講師に茶道体験の開催を予定している。
大遠忌に代わる
新たな期待感を
根本中堂の落慶や観光業の活発化に向けて、行政や参画企業、大学と協働して活動に取り組んでいく。鳥井委員長は「本活動が滋賀・京都の観光振興と地域創生につながる。大遠忌を終えて第2章に入った今、新たな気持ちで、最澄の魅力や教えを国内外に発信していく」と述べた。
コロナ禍が明けて、インバウンドや国際イベントに注目が集まる昨今、伝教大師の教えや歴史、伝統文化を世界に向けて強力に発信していくとの指針が全員一致で再確認された。