世界宗教者平和の祈りの集い スペイン・マドリード
「国境なき平和」をテーマに宗教代表者が討議
カトリックの信徒団体「聖エジディオ共同体」が主催する「第33回世界宗教者平和の祈りの集い」が9月15日から3日間、スペイン・マドリードで開催された。
天台宗からは小堀光實延暦寺執行を団長に、吉澤道人宗議会副議長、森定慈仁一隅を照らす運動総本部長を副団長とする10名の使節団を派遣し、諸宗教代表者らと平和への祈りを捧げた。

「国境なき平和」をテーマに掲げた今年の集いには、全世界から様々な宗教団体・宗派より千名を超える聖職者が参加。開会式では聖エジディオ共同体創設者のアンドレア・リッカルディ教授がこの集いの意義と歴史を振り返り、主催者を代表し歓迎した。また、中央アフリカ共和国のトゥアデラ大統領らがスピーチし、世界で起こる諸問題解決に向けた議論に期待を寄せた。
16、17日には、マドリード市内の各会場で27の分科会があり、分科会3で小堀執行が「非武装と非暴力」と題して講演した。
小堀執行は、唯一の被爆国・日本の宗教者として、広島、長崎への原子爆弾投下について触れ、核廃絶が進まない世界状況を憂いた。
そして戦争や紛争の終結だけが平和をもたらすものでなく、「貧困や飢餓、人種差別、地球環境問題が私たちの生活を脅かす存在になりつつある」と指摘。「平和とは全てが平等で何よりも地球社会に共通する正義の問題であるという見地に立って語らねばならない」と訴え、「互いの価値観の多様性を認め、共に生きることによって良き友人になることが大切だ」と、相互理解と連帯を呼びかけた。
最終日の17日は、午後6時から各宗教・宗派による平和の祈り法要が市内各所で営まれ、続く閉会式で「平和宣言文」が採択され全日程を終えた。