比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」
分裂と憎悪を乗り越えて
8月3・4日 国立京都国際会館・比叡山延暦寺・将軍塚青龍殿
「平和への努力を誓う。固い絆を!」
比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」(主催・日本宗教代表者会議)が8月3日、4日の両日、国立京都国際会館並びに比叡山延暦寺、将軍塚青龍殿を会場に開催された。
テーマ「今こそ平和のために協調を〜分裂と憎悪を乗り越えて〜」のもと、世界18ヶ国からの宗教指導者24名を含めた約2千人が参加。世界が直面する諸問題解決へ胸襟を開いて議論し「忘己利他の精神で平和のために献身することを誓う」とする比叡山メッセージ2017を山上から世界に発信した。

京都国際会館での開会式では、日本宗教代表者会議事務総長の杜多道雄宗務総長が、「世界平和を実現するためには、お互いに対話し相互理解を深め、価値観の多様性を認め、共生の思想を共有することが必要」と今サミットの意義を強調。ローマ教皇フランシスコ聖下、パン・ワナメティ世界仏教徒連盟会長、ムハンマド・ビン・アブドルカリーム・アルイーサー世界イスラーム連盟事務総長からも、趣旨に賛同するメッセージが寄せられ比叡山宗教サミット30周年での成果に期待が寄せられた。
続いて聖エジディオ共同体のアルベルト・クワトルッチ事務局長が講演し、アッシジから比叡山に受け継がれた30年を振り返ると共に、これからも固い絆で交流を続けることを約束した。
明石康元国連事務次長、ウィリアム・ベンドレイ世界宗教者平和会議(WCRP)国際事務総長らの基調講演、また杉谷義純事務局顧問をコーディネーターとするシンポジウムでは「テロと宗教〜暴力的過激主義に宗教者はどう立ち向かうか〜」をテーマに、キリスト教、イスラーム、仏教、ユダヤ教、諸宗教対話の指導者7名が真摯に議論を交わした。
終了後には緊急メッセージとして、内戦が続くシリアから参加したファーロック・アクビック名誉教授が登壇し「あらゆる場所のあらゆる人間を、その存在を脅かすような迫りくる危険から守ってください」と会場へ理解を求めた。
夕刻からは将軍塚青龍殿へと移動。京都市内を一望できる舞台中央に不滅の法灯と平和へのメッセージを書いた折鶴が入ったオブジェが中央に置かれ、約300名の宗教指導者らによって、戦争や自然災害などで失われた全ての命に鎮魂の祈りが捧げられた。
4日は、「核廃絶と原子力問題を考える」、「貧困の追放と教育の普及」をそれぞれテーマに分科会が設けられ、基調発題に基づき、各宗教代表者らが意見を述べ合った。午後からは会場を比叡山延暦寺一隅会館前広場に移し、世界平和祈りの式典を開催。「平和の交歓」では、森川宏映天台座主猊下の「平和の努力を誓う。固い絆を!」との発声で宗教者らが手を取り合い世界平和の実現を祈った。
最後に「憎悪と排除からは争いしか生まれない。忍耐強い対話と他者の存在を受け容れる努力こそ、平和への近道であることを強く訴える。そして我々の切なる願いが神仏に聞き届けられるように祈り、行動していくことをここに宣言する」とするメッセージが発表された。