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サミットの歴史

比叡山宗教サミット34周年 − 概要

▲ 諸宗教代表者が登壇し黙祷を捧げた

比叡山宗教サミット34周年「世界平和祈りの集い」が8月4日、比叡山延暦寺事務所前特設会場で開催された。新型コロナウイルス感染症の影響から、一部オンラインを活用するなど感染症対策に配慮した方法での開催となった。仏教はじめ、神道、キリスト教、イスラーム、新宗教など、日本各地より世界の恒久平和実現と新型コロナウイルス感染症の早期終息を願い、祈りを捧げた。

平和の祈り式典 於 比叡山延暦寺事務所前特設会場

▲ 「お言葉」を述べられる森川宏映天台座主猊下

式典は午後3時10分阿部昌宏天台宗宗務総長の開式の挨拶で始まった。

34周年は新型コロナウイルス感染症の影響から新たな式典内容の形態として舞台中央に大型モニターを設置、来山が難しい諸宗教代表者にはオンラインにてご参加いただいた。また実際に登叡し参加される方々の事前登録や、会場でのイスを一定の間隔を空けて設置するなど万全な新型コロナウイルス感染症対策を講じての開催となった。

比叡山メッセージが朗読された後、続いて森川宏映天台座主猊下がお言葉を読み上げられ、「現実を目の当たりにし、更には昨年から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な脅威の中、私たちの心は大きな不安と心配に覆われています。かかる状況下において、今こそ、私ども宗教者は対話による相互理解を深め、「博愛」「利他」の精神に基づく連帯をより強固にし、共に祈り世界平和を希求し続けなくてはなりません。神仏のお導きにより人々の心に安らぎが訪れるよう、我ら宗教者は一層努力することを謹んで誓願いたします。」と述べられた。

平和への祈りを込めて打鐘する延暦寺学園比叡山高等学校生徒会代表の生徒

その後、オンラインを含め国内外の諸宗教代表者ら10名が登壇。15時30分に文殊楼にある鐘楼「世界平和の鐘」が延暦寺学園比叡山高等学校生徒会代表の生徒達によって打ち鳴らされると、平和を願う黙祷が捧げられた。

ローマ教皇庁諸宗教対話評議会(PCID)議長
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿の
メッセージをオンラインにて代読する
レオ・ボッカルディ ローマ教皇庁駐日特命全権大使

海外からもメッセージが寄せられ、ローマ教皇庁諸宗教対話評議会(PCID)議長のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿(代読・レオ・ボッカルディ ローマ教皇庁駐日特命全権大使)、パン・ワナメティ世界仏教徒連盟(WFB)会長(代読・掬池友絢全日本仏教会国際部長)の平和へのメッセージがオンラインにてそれぞれ披露された。

また、子どもたちから「平和への思い」と題した作文を、延暦寺学園比叡山高等学校代表の北脇賀凡さんが実際に会場で、金光教学園高等学校代表の兒山恵和さんがオンラインにて朗読、その思いをうけ、田中恆清神社本庁総長がオンラインにて「お二人の平和へのメッセージをいただき、今日ここに時を共有している皆様と共に改めて世界平和のために足がかりを確認し、共に超越し、共に生み出す、そういった道を歩んで行くことを確認させていただければと存じます」と、宗教者と若者たちが共に世界平和への道を歩んで行くと約束する言葉を送られた。

最後は水尾寂芳延暦寺執行の挨拶があり、参加者全員で平和への祈りと行動を続けることを誓いあい閉会となった。

平和への思いが込められた色紙

会場には子どもたちより平和への思いが込められた色紙が奉納された。

舞台上には延暦寺学園比叡山中学校、駒込学園駒込高等学校両校の生徒達より、式典に寄せた平和への思いが込められた色とりどりの色紙が、一隅会館ホールには駒込高等学校の生徒が一文字ずつ誠意を込めてミニ色紙に書いた般若心経が掲示された。

▲ 駒込高等学校の生徒が書いた般若心経

▲ 平和への思いが込められた色紙

子ども達からのメッセージ「平和への思い」

次代を担う2人の子ども達より平和への思いを綴った作文が朗読発表された

子ども達からのメッセージ「平和への思い」(1)
 延暦寺学園比叡山高等学校 3年生 北脇 賀凡さん

▲ 延暦寺学園比叡山高等学校 3年生 北脇 賀凡(きたわき かほ)さん

『平和への思い』

「平和」それは、戦争や紛争がなく、世界中の誰もが安心して、幸せに過ごせること。「平和とは何か?」と聞かれたらこのように考える人が多いのではないでしょうか。しかし今、世界では、新型コロナウイルス感染症が流行し、ウイルスという目に見えない敵が襲いかかってきています。新型コロナウイルスの世界の累計感染者数は1億人以上、死者数は380万人以上と、現代を生きる私たちが今までに経験したことのない、甚大な被害が出ています。世の中はステイホーム、ソーシャルディスタンス、マスク生活。これまでは考えもしなかった日常を私たちは生きているのです。このような状況の中、紛争や戦争で争っていて本当にいいのでしょうか?争いをなくすということが平和であることは、もちろん皆さん分かっていると思います。ではなぜ争いは起こってしまうのでしょうか?私の脳裏に一番に浮かんだのが、人々の繋がりというものが薄れてしまっているのではないかということです。平和を実現するには、まず人間関係を良好にすること、いわゆる「小さな平和」を実現することが必要だと思います。そのためには、人とコミュニケーションを取って相手を理解し、それを広げていくことが重要だと考えます。

私は現在、比叡山高校に在学しており、天台宗の総本山である比叡山の麓で、伝教大師最澄さまが残された様々な教えを学びながら日々を過ごしています。この比叡山高校に通い始めてから毎朝、朝礼で般若心経を唱え、授業で仏教について学ぶことで、日常に対する意識というものが変わってきたような気がします。その影響を受けた一つが、最澄さまが残したさまざまな言葉です。私は、この言葉こそが、のちに平和につながる教えではないかと思います。

最澄さまが残した言葉の中に、我が校の校訓でもある「一隅を照らす」「能く行い能く言う」「己を忘れて他を利する」という三つの言葉があります。

まず一つ目の、「一隅を照らす」。正確には「一隅を照らす、これ則ち国宝なり」という言葉です。

「一隅」とは、今自分がいる場所や置かれた立場のことを指します。自分自身が置かれたその場所で、精一杯努力し、明るく光り輝くことのできる人こそ、何物にも代えがたい国の宝であるという意味です。一人ひとりが自分の立場で最善を尽くすことで、まず自分が照らされます。そしてこれが自然と周囲の人々の心を打ち、やがて社会全体が明るく照らされるのです。「一隅を照らす」ということは、各々の仕事や生活を通じて、世のため人のためになるように努力実行することで、お互いが助け導き合い、あたたかい思いやりの心が自然と拡げられていくのです。それによって、「小さな平和」を実現することができ、のちに世界の平和へと繋がるのだと思います。

二つ目の、「能く行い能く言う」という言葉には、自身の行動に責任を持つという意味があります。私たちが何気なくしている日常会話でも、言葉一つで他人を傷つけてしまうことがあります。いわゆる誹謗中傷です。現にこのコロナ禍でも、感染しただけで周りから避けられたり、医療従事者の家族が職場や学校に通えなくなるという事態が実際に起こっているのです。それが、他人との関係を悪い方向へと導いてしまい、のちに対立へと発展してしまうかもしれません。そうならないために、相手側の立場に立って、正しい発言であるかどうかをしっかり自分の力で判断すること、これが必要であると考えます。

三つ目の、「己を忘れて他を利す」。正確には「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」という言葉です。私たち人間はどうしても自分を中心に考えてしまいます。その結果、もっとこうして欲しいなどと、周りに望むことが多くなりがちです。自分は後にして、まず人に喜んでもらえるようなことをする、そこに幸せがあるのだという意味の言葉です。つまり、我欲が先に立つような生活からは幸せは生まれないということです。常に周りの人の気持ちを考えつつ行動することで、より良い関係が維持できるのではないかと思います。

この三つの言葉のもと、私たちは周りの人とのより良い関係づくりに努めていく必要があると思います。一人ひとりが自分の周りの「小さな平和」を実現し、人と人とのより良い関係が広がっていけば、世界は平和へと変わっていくと思います。皆さん一人ひとりの行動が、世界の平和を実現する要となるのです。

私は今回、このような機会をいただいたことで、伝教大師最澄さまのさまざまな教えを受け止めながら、平和について改めて考え直すきっかけになりました。これからも日本の平和、世界の平和、そして新型コロナウイルス感染症の早期終息を願いながら、毎日般若心経を唱えたいと思います。ありがとうございました。

子ども達からのメッセージ「平和への思い」(2)
 金光教学園高等学校 3年生 兒山 恵和さん

▲ 金光教学園高等学校3年生 兒山 恵和(こやま けいわ)さん

『平和への思い』

今年、2021年2月1日にミャンマーでは国軍によるクーデターが起こりました。

このクーデターは、遠い国の遠い話ではなく、私の学校生活と深く関わり、平和について考える機会となりました。本日はそのことについてお話させて頂きます。

私が、高校2年生の時、探究学習で「JustSMILE学校プロジェクト」に参加しました。この活動は、ミャンマー北部のシャン州ンゴラ村の子ども達の為に幼稚園を建て、子ども達を笑顔にしようというものでした。まず授業の中で私達はミャンマーという国について調べました。

ミャンマーは連邦共和国で、多民族国家であり民族同士の紛争が絶えない国であること、また農地や天然資源は豊富ですが、政治的な混乱によって経済成長が遅れてきたこと、田舎の村、たとえば幼稚園を建てるシャン州ンゴラ村などでは、学校に入学しても貧しくて学校に通えない、半年以上が乾季で、水が少なく、きれいな飲み水もない状況であることが分かりました。

幼稚園の建設が果たせた後、ミャンマーの現状を知った私達は、このプロジェクトを機に、これから幼稚園に通う子ども達の為に何か出来ることはないか考えました。そこで、子ども達の為に、文房具とおもちゃを送ることを企画しました。そして、その活動に賛同する同級生が50人集まり、チームが立ち上がりました。

チームの仲間が、インターネット回線を通して、ミャンマーの現地の人に話を聞き、ンゴラ村の現状や気候などを詳しく知ることができました。

私達は、ミャンマーは暑いという先入観をもっていましたが、ンゴラ村はミャンマーでも北部にあり寒い時が多く、幼稚園で使うお昼寝用のブランケットが欲しいということを聞くことが出来ました。

さらに、ミャンマーの子ども達はサッカーが好きなことと、子ども達に数字を覚えさせたいという話を聞いて、背番号がついたゼッケンを送ることにしました。

ブランケットやゼッケンなどを子ども達に送るために、私達は初めてクラウドファンディングに取り組みました。ホームページの作成や学校への承諾書、企業との様々な手続きなど困難な課題がたくさんありましたが、現地の方の「子ども達は、日本からの贈り物を楽しみに待っています」という言葉を聞き、改めてこの活動を成功させようと仲間と共に頑張りました。

私達がクラウドファンディングを開始した2月1日。その日に、ミャンマーではクーデターが発生しました。当初、私達はそれほど深刻化しないだろうと安易に考えていましたが、しかし、現状は日に日に悪化し、一般人にも死傷者がでるほどになっていきました。一方、クラウドファンディングは、全国の皆さんからの暖かい気持ちを頂いて目標額を達成しました。そして贈り物の準備も出来ました。けれども現在、贈り物の輸送はクーデターが落ち着くまで、一時中断せざるを得ない状況になっています。現地の子ども達が今か今かと待っているのに送る事が出来ず、子ども達に喜んでもらうことが出来ておりません。とても悔しくやるせない気持ちです。

私達は、ミャンマーのンゴラ村の子ども達が、これから、学校で安心して遊び学べるようになることを願っています。私達が高校を卒業するまでに贈り物を届けたい。そして、いつの日かその子達と一緒に世界のために働くことができることを夢見ています。

私達は、「JustSMILE学校プロジェクト」の活動に取り組むことを通して、今まで他人ごとのように思えていた出来事がとても身近なことのように感じる様になりました。それと共に知らない事を謙虚に学ぶこと、また物事を広い視野で理解していくことの大切さを教わりました。

今、世界各地では、紛争や内戦が続いています。それは人種の違いやイデオロギーの対立などが原因となっています。私はたとえ肌の色や考え方が違おうとも、まず相手を知り、相手の立場になって考え相手から学ぶことから様々な問題解決の道が見いだせると思えるようになりました。

私はこの活動に取り組む中で金光教の教師であった曾祖父が、太平洋戦争中に、兵士として現ミャンマー、当時のビルマの地に出兵し、終戦後、約一年半収容所生活をおくったことを父から聞かされました。その曾祖父が往年、私の父に戦争体験を伝える為に書いた手紙の末尾に

皆大切にしあい 感謝しつつ 世界真(しん)を平和に 功(いさお)しあらしめ給えと 祈る

と書いてありました。曾祖父は戦争体験について語ることはほとんどありませんでしたが、ずっと「世界真の平和」を願い祈り続けてきたのだと私は思います。

私は「JustSMILE学校プロジェクト」の活動に終わらず、ミャンマーの子ども達の未来を思い共に将来を歩んでいけるようになったらいいなと思っております。

そのためにも私自身、「世界真の平和」を祈り、それを実現するために学び、世のお役に立てる人になりたいと願っています。

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