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サミットの歴史

比叡山宗教サミット15周年− 概要

(広報天台宗 第19号)

「平和への祈りとイスラムとの対話集会」
イスラムの代表的指導者を招き相互理解と信頼の確立を目指して世界平和を懇祈する

参加者1,300人が世界平和のために参集

 世界平和を祈る比叡山宗教サミットは、本年8月に15周年を迎えた。
 今回のサミットは、2001年9月11日に起こった、同時多発テロを受けて「平和への祈りとイスラムとの対話集会」として、8月3、4日の両日開催された。同時多発テロの犯人がイスラム教徒とされたところから、世界にイスラム教全体に対する、不安と腐心が広がっていることを懸念して、宗教者間の理解と対話を深めることを開催趣旨に謳い、特にイスラム教から代表的指導者が招かれた。
 そして会場となった京都国際会館とプリンスホテルには、今回のサミットのメインとなる対話の場としてシンポジウムとフォーラムが設けられた。また、比叡山根本中堂前の特設会場では、海外、国内の宗教代表者が共に平和への祈りを捧げた。
 サミットは、1,300人の参加者を前に、開会式典が行われ、西郊良光実行委員長の開会挨拶で幕を開けた。そして河合隼雄文化庁長官、工藤伊豆日本宗教連盟理事長代理が祝辞を述べ、ローマ教皇聖下、アズハル総長、ハッサン殿下のメッセージが披露されたあと、海外招聘者を代表してイスラーム大学学長のムハンマド・サアド・アッサーリム博士が「イスラムと平和」と題して記念講演を行った。博士は「一個人の行動がイスラムの教えと混同されたことで、神の教理が侵犯されている。私たちは相互理解と対話を必要としている。イスラムは、平和を求める宗教だ」と訴えた。
 続いて行われた「イスラムとの対話と理解」とのシンポジウムでは、出席者全員をイスラム世界からの宗教指導者で構成し、イスラムへの理解を深めた。その中で日頃日本人が疑問に感じているジハード(聖戦)や、一夫多妻制、食物禁忌について、コーディネーターとなった京都新聞社の吉澤健吉部長が質問する形で進められた。この中で、国際イスラム評議会代表のケイラニ師が「メディアがイスラムへの偏見を助長している。天台宗はじめ日本の宗教界がイスラム世界と他の宗教の橋渡し役となって欲しい」と期待をにじませるなど、シンポジウムは実り多いものとなった。

宗教が紛争和解に果たす役割

 4日には、国内宗教者を対象に、杉谷義純WCRP日本委員会事務総長がコーディネーターとなってフォーラム「紛争和解と宗教」が開催された。発言者は、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、諸宗教から登壇した。当初150名を予定していた会場は、参加希望者が激増したため、急遽250名に設定し直して開会された。
 民族紛争による悲劇に見舞われたボスニア・ヘルツェゴビナのムスタフィッチ宗教間対話協議会事務局長(イスラム教)は、紛争の現実を生々しく語り「平和的に他者と共存するという宗教の教えを拡げることが大切。イスラムはこのような原則を守る宗教だ」と共生を呼び掛け、続いてアッナッガール博士(イスラム教)が「イスラムは全ての生物の保護と、全世界が慈悲、友愛、平和、協力に包まれるよう呼び掛けている」と述べた。ユダヤ教のフリードランダー師からは「対話を通じてお互いを愛することにより、問題の解決ができるのではないか」との提言がなされた。さらにイプグレイブ英国国教会宗教対話協議会顧問は「異教徒との対話よりは、同じ宗派間での対話の方が難しい」と指摘。最後にベンドレイWCRP国際委員会事務総長は「宗教的無知によって紛争が起こる。真の平和が中東に訪れるためには、宗教者が共に生きることを説くことが必要ではないか。聖典は諸刃の剣であることを理解して読むことが大切」との立場を説いた。

参加者600人がともに世界平和を祈念

 同日、午後からは比叡山上にて平和の祈り式典が行われ、約600人の参加者が見守る中、海外代表者、また国内の宗教代表者が特設舞台に登壇して、共に世界平和を祈願した。渡邊座主猊下は平和祈願文で「我々が予想もしなかったテロ行為が、平和を謳歌する国家や都市に突然襲いかかるという、まさに無差別殺戮の時代に入ったかのように見える。その原因に、民族があるいは過激な宗教信者が抱く怨恨にあることを否定することはできない。怨恨が無差別に無関係の者まで殺害するとしたら、これは容易ならざる事態である。テロに対して武力、武力に対して無差別テロの悪循環は1日も早く止めねばならない。しかし我々の力には限りあることも自覚している」として、伝教大師の「怨みをもって怨みに報いれば怨み止まず、徳をもって怨みに報いれば怨み即ち止む」を引いて、世界平和のため、神仏にその偉大なる力を賜れるよう懇祈され、参加者全員で世界平和が祈念された。


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