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サミットの歴史

比叡山宗教サミット1周年− 概要

(比叡山時報 第399号 昭和63年8月8日)

祈りは世界をかえた

 「一身弁じ難く、衆力成じ易し」(伝教大師)。世界宗教者が力を合わせて平和を、と一心に祈った宗教サミットからはや1年がたちました。
 祈りで平和は来ない、と言ってこの催しに批判的な団体もありました。
 平和とは、実際に戦争をやめなければやって来ない。祈りよりも貧困や病魔に苦しむ犠牲者に、愛の手を差しのべることこそ宗教者のつとめではないか、とビラをまいて反対する人もありました。
 しかし、世界の宗教者は祈りました。祈りという言葉を用いない宗派の人びとも、平和の到来を願って共にこの会場で目を閉じたのでした。
 あのころから、世界の情勢は少しづつ変化し始めたのです。
 米ソの核兵器の縮少傾向、アフガニスタンからのソ連軍の撤退、更には、イラン・イラク戦争終結への動きなどなど、どうにもならない死への道から少しずつ方向が転換されているように見えます。
 世界の宗教者の祈りが通じたのだ、と私たちは真剣に思っています。神や仏に通じないはずがないのです。
 去る4日、1周年記念は、先ず宗教サミットの記念碑の除幕から始まり、イスラム教の、ヨーロッパ・シベリア・イスラム委員会議長のムフティ・タルガト・ダジディーン師がソ連から、また、世界的な音楽指揮者で国連親善大使のマエストロ・ロリン・マーゼル氏がアメリカから来山されました。日本の宗教界からもそれぞれ代表者が出席し、さながら1年前の式典の再現でした。
 比叡山幼稚園の園児は、500個の風せんに花の種をつけて空に放ち、平和の種を蒔きましょうと呼びかけ、代表者は順々に平和への決意を述べました。
 ローマ教皇パウロ二世は、わざわざメッセージを出され、イギリス聖公会のカンタベリー大僧正、世界ムスリム連盟総長のアブトラ・ナシーフ師、中国仏教協会の趙樸初会長からも祝辞電報が届けられるなど、国際的にもこの1周年行事が世界宗教界の大きな関心事であることを物語りました。
 昨年のサミット以来「比叡山精神」という言葉が人々の口から出るようになりました。
 宗教を信じる人びとが、国際的に互いに力を合わせて平和をかちとる。そのために心から神仏に祈り、かつ願い、そして感謝する。という意味です。
 宗教には、神仏の心に添うて人の心を動かせる力があります。
 人びとが、宗教の原点に立って平和のために祈る、そして働く、これが比叡山精神なのです。


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