回答

Q 葬儀や法事に参列した時の心がけを教えて下さい。
A

 葬儀のときや、四十九日忌のように葬儀に近いうちの法事では、遺族・親族をはじめ参列される方々は悲しみの内にあることでしょう。またそのような中でも、葬儀・法事を滞りなく進めるべく遺族の方々は緊張の中にあり、心身共に負担がかかっているはずです。こうした当然の事情をふまえ、参列者は常識的な気遣いを心がければよいはずです。

 例えば、全体の進行を遅らせるようなことを慎むべきです。自分に対する応対にあまり時間をかけさせないようにする、焼香をするときなどに必要以上に丁寧に時間をかけたり、大げさな感情表現をしない、無用の譲り合いをしないなど、いくらでも細かい気遣いができるはずです。また、故人に近い人々の心情をその人の立場で考えれば、話題にも注意すべきでしょう。段取りに多少の落ち度があったとしても、それをあげつらっているようでは何をしに来たのかわかりません。

 法事とは、もともとは広く仏教の行事を指していましたが、現在では亡くなった方のために供養することをいいます。しかしながら、「故人のため」という限定的な捉え方では、葬儀・法事の意義は尽くせません。法事に参列する人々が故人を偲び、改めてその恩に報いてしっかりと人生を歩む気持ちを起こすことは、やがて広く社会・人々のためになるはずです。こうしたことに思いを巡らすなら、おのずと参列の心がけも深く考えることになるでしょう。そして、実はこの「他人を気遣ってよく考えて言動する」ことこそ、「仏教に基づいた儀式」としての法事の重要な意義のひとつと考えるべきでしょう。