天台宗宗務総長 新年ご挨拶

み教えを高く掲げ

天台宗宗務総長 細野舜海

新年明けましておめでとうございます。
皆々さまにおかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 藤光賢天台座主猊下におかれましては、昨年二月一日にご上任いただきまして以来、宗内の諸行事や総本山の法要等に日夜ご精励くださっておられます。日本宗教界の代表ともいうべきお立場で衆生教化にもご尽力いただいておりますこと大変ありがたく感謝申し上げます。ご法体お健やかに、引き続き我々をご教導くださいますようお願い申し上げます。

 宗務総長就任から早一年が経過しましたが、宗内外の諸行事に出席させていただく機会に恵まれ、各教区の状況や宗徒の皆さまとの懇親を通じて様々なご意見やご要望を伺うことができました。祖山護持、愛宗護法の念を持たれて日々教化にご精励くださっておられる皆さまの姿を拝見し、宗務をお預かりする者として責任の重さを改めて痛感いたしました。就任時に掲げました「人材の育成」、「教えの普及」、「寺院の存続」を教団運営の柱に据え、「祈り」、「求道心」、「人づくり」の施策を前進させるべく、更に宗務に邁進してまいります。

 また鋭意進められております比叡山延暦寺根本中堂大改修につきましても、本末一如の精神を持って魔事なく円成するよう努めてまいる所存です。引き続きご法助賜りますようお願い申し上げます。

 昨年の世相を顧みますと、太平洋戦争終結から八十年の節目を迎え、全国的に戦争の記憶や教訓を伝える行事が開催されました。比叡山延暦寺におきましても、八月に天台宗と延暦寺合同による「戦後八十年戦没者慰霊並びに世界平和祈願法要」を奉修し、世界の安寧と人類の平和を祈念いたしました。続く比叡山宗教サミット「世界平和祈りの集い」では、令和六年にノーベル平和賞を受賞された日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員を講師にお招きし、長崎市での被爆体験から七十年にわたって世界に核兵器廃絶を訴え続けてこられた活動、そして次世代に平和と人を愛する教育の重要性をご提言賜りました。これら一連の行事から、「過去を知り、現在を考え、未来を見据える」大切な機会となり、暴力ではなく対話で平和的解決を目指す取り組みへの推進を再認識いたしました。

 世界では、他者を顧みず自国第一主義に舵を切る風潮が見られ、国際秩序が乱れつつあります。また異常気象による自然災害が多発し、命にかかわるような事態を迎えております。

 このような状況にこそ「忘己利他」、「一隅を照らす」を旗頭に、宗祖伝教大師が目指された仏国土の建設を実現すべく、宗徒並びに檀信徒の皆さまとともに祈り、対話による解決を呼びかけてまいりたく存じます。

 皆さまのご多幸を心より祈念し、ご挨拶といたします。

令和8年正月
天台宗宗務総長 細野舜海

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